やまなし音遺産”郡内織物”

 

■やまなし音遺産 〔第26回 “郡内織物”〕

 

山梨県内にある“後世に残したい音”  第26回目は《郡内織物》です。

 

今回はとてもリズミカルな「シャトル織機の音」です。

今も変わらず機織りの音が響く町、富士吉田地域は、江戸時代から織物業が盛んな地域。

「甲斐絹」「郡内織物」「ふじやま織」と呼ばれ、井原西鶴の作品にも登場するほど高級な織物と認識されていました。

この富士吉田の主要産業である織物業は、昔は女性が中心。

そのため、食事を準備するのは男性でした。そこで力強い男性がうどんの麺を打ったため、「麺の太さ・硬さ」が特徴の「吉田のうどん」が生まれました。

「郡内織物」と「吉田のうどん」は、古くから深い関わりがありました。

 

そこで、今回は富士吉田市で90年以上続く織物業社「舟久保織物」の3代目、舟久保勝さんに郡内織物について伺いました。

一般の織物は、製品を作り終わったあとに色を染めますが、郡内織物は「先染め」が特徴。

事前に染めてある糸を織ります。

先染めは非常に鮮やかで高級感あふれる柄を作り出すことが可能!

その他に、郡内織物は「細番手」「高密度」「多品種生産」が大きな特徴です。

絹、キュプラ、ポリエステルをはじめとする長い繊維の細い糸を使用(繊細な生地が作れる)

糸を高密度に束ねて、ふんだんに使用(ネクタイ生地にはおよそ1万本)

洋服の裏地、ネクタイ以外に、洋服、スカーフ、カーテン、クッションなどが生産されています。

 そして、舟久保さんのところでは、傘の生地を作っています。

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 実は、一つの傘が出来るまで、たくさんの工程を経て、たくさんの人の手が加わり出来上がります。 染色専門、仮織専門、柄をつける専門などなど・・・それぞれのプロでリレーをして、傘が出来上がってくるんです。

そんな富士吉田は傘産地として全国一!技術を誇り、色、柄、形に相当な工夫が凝らされています。

傘を織る糸は、およそ3000~7000本の糸を使います。

織る時間は1時間でおよそ1m。一日で20m、傘の80から85本分を織ります。

 

さらに、舟久保さんのところでは、ほぐし織という技法を使っています。

ほぐし織とは、明治40年頃にフランスから伊勢崎地方に伝わりました。

その後、八王子を経て、山梨の織物産地であった郡内地域に伝わってきました。

江戸時代から「甲斐絹」の産地として名をはせ「絵甲斐絹」という、織り機の上で型染めをする独特の技法がありましたが、昭和18年頃に消滅。

一方、ほぐし織は100年以上歴史を持つ技法です。

縦糸に仮織(数cm感覚で横糸を入れる)を施し、肩を使って平台の上でハンドプリントをします。

それからいくつかの工程を経て、機械にセットされ、型染めの時に糊で固まった縦糸をほぐし、仮織の糸を抜いてから本織で生地を仕上げます。

生地プリントとは違い、柄の際がかすれて、柔らかく温かみが感じられる柄に仕上がることがこだわりと特徴です。

この「ほぐし織」は大変手間のかかる織物。

 

高校卒業と同時に家業を継いだ舟久保さん。

現在もなお、お父様、お母様、そして奥様と家族で機屋さんを営んでいます。

お父様、お母様の年齢を合わせると159歳。

活き活きとしたご様子で現役で機を織っていました。

 

昔は両隣3軒機織りの音が聞こえたそうですが、今は周りには10軒ほどしか織物業は残っていません。

2004年にはおよそ500社あった織物工場の数も、今は、およそ350社。

しかし、県内、都内の若者がブランドなどを立ち上げ、伝統を守ろうと試みています。

この長い歴史と伝統のともし火を消さぬように、機織り業者皆さんで、工場見学も積極的に受け入れて、情報交換なども行っています。

郡内地域を散策してみると、何処からか、シャトル織機の音が聞こえてくるかもしれません♪

 

 

 

 

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舟久保織物

住所/富士吉田市小明見2016番地

電話/0555-22-2684

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