甲州親子だるま

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福を招き、厄を除けるお守りとしてお祭りの縁日や神社などでよく見かける「だるま」

みなさんは、合格祈願などの想いを込めて、「片目」を書き入れ、願いが叶ったらもうひとつの目に墨を入れる、そんな経験をしたことはありませんか?


甲州親子だるまは、このような一般的なだるまとは違って、
色は白く、立派な髭を生やした「子だるま」をおなかに抱えています。

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よく見ると、神棚にあげたとき、拝む人の目と親だるまの目が合うように作られています。

そして、ちょうど真ん中にある子だるまの瞳、これは
子どもの未来や、子どもが自分で目標を持ち、思った道を真っ直ぐ歩んでほしいという親心を表しています。

子だるまに描かれる立派な髭には、立身出世の願いが込められているんですよ。


甲州親子だるまの色は、かつて山梨の産業を支えていた養蚕と綿の「白い色」から来ています。
豊作を願う風習から、繭の形をした白いだるまを祀ったと言われています。


甲州親子だるまの歴史は古く江戸時代までさかのぼります。

現在の甲府市城東にあたる地域に住んでいた武井八衛門が京都から来た僧に、張り子の技術を教わって、武田信玄の顔に似せて甲州だるまのデザインの基礎を作ったとされています。
1730年代になって5代目・八衛門「親子」をモチーフとしただるまを考案しました。

戦後になって、千葉や山梨で建築を教えていた初代・斎藤岳南さんが、建築技師から
民芸品作家に転身、甲州親子だるまの伝統を受け継ぎました。
初代・岳南さんは、甲府市横沢のだるま職人らのもとで学び、歴史的資料を考察しながら、研究を重ねました。
その功績が認められ、1995年に県伝統工芸品に指定されました。


現在、甲州親子だるまの製作を受け継いでいるのは、
甲府市在住の2代目・斎藤岳南さん(68歳)です。
先代の父親の名前を受け継ぎ、伝統を守っています。

岳南さんは、見習いのとき「学ぶといっても、直接教えてもらえることはあまりなく、
盗み見るだけだった」
と話しています。

また、岳南さんは「時代の流れを見ながら、手作り品の良さを伝えていきたい」と、
思った道を真っ直ぐ歩めという親子だるまの教えを胸に、今日も郷土玩具作りに励んでいます。

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是非お楽しみ下さい!