紹介した建物

第10回「芦安堰堤」(6月7日放送)

第10回芦安堰堤

今回から4回に渡り、「暮らしを支える」をテーマにお送りしています。

 

南アルプス市の「芦安堰堤(あしやすえんてい)」は、日本で最初にコンクリートを用いて作られた砂防堰堤。

 

明治40年の水害で、大きな被害をもたらした御勅使川。
その上流に大正5年、当時の中央官庁である内務省の直営工事として着工されました。

水を貯めるのではなく、土砂を貯める砂防堰堤。下流への土砂の流出と、洪水の抑制につながります。

 

大正7年に重力式堰堤が完成。
しかしまもなく土砂が満杯になり、上部にアーチ式堰堤が増設されました。

 

このため上段アーチ式、下段重力式という、珍しい構造となったのです。

二段構造の珍しい堰堤は、高さ約22メートルの高さは、砂防堰堤としては、竣工当時、日本で最も高いものでした。

 

堤体の全てが、石と石を粗石コンクリートでつなげた、練石積。屈強かつ、時代を感じさせる趣です。

砂防技術の転換期に、新しい工法で誕生し、90年経った今でも、下流に住む人々を守っています。

2016年6月7日 22:00