第26回「商家資料館」(9月27日放送)
かつて谷村と呼ばれた都留市の中心街、
国道139号富士みち沿いに
「商家資料館」があります。
瓦葺き・切妻・平入り・土蔵造りの2階建て。
郡内で盛んに作られていた高級絹織物・
甲斐絹の問屋を営んでいた仁科家が、
大正10年に建てたものです。
中は奥行が深く、谷村城下町時代に行われた、
町家屋敷の地割りの名残といわれています。
通りに面した16畳の部屋。
「玄関」と呼ばれる店先です。
織物の検査のために使われていた、
台や秤なども残されています。
荷物の出し入れがしやすいよう、
天井も大変高くなっています。
奥には、書院風に作られた10畳の座敷。
床柱は、当時中国でしか手に入らなかった銘木・鉄刀木。
幅9尺の床の間に接した、ふち無しの畳や、
障子には、接着剤を一切使っていない、
繊細な組子細工が施されています。
仏間の隣には、大正時代には珍しい、洋風の応接間も。
中国や台湾・韓国とも取り引きしていたため、
その交流が、デザインに影響を与えたといわれます。
この他にも、
最近では見かけなくなった様々な趣向、工夫が。
6年をかけ、職人や名工によって作られ、
関東大震災など、数々の災害を免れた屋敷。
暮らしぶりから、
織物で栄えたまちの姿が浮かび上がってきます。
2016年9月27日 22:00