第28回「小林家レンガ蔵」(10月11日放送)
笹子峠の東側、大月市初狩町。
甲州街道の中初狩宿だった、国道20号線沿いに、
「小林家レンガ蔵」があります。
赤いレンガ造りの、頑丈な土蔵。
レンガは、長い面と短い面のならぶ段が
交互に積まれた「イギリス積み」。
土木・鉄道関連の施設で見られた積み方です。
明治時代、中央本線開通のため、山の多い県内では、
大小いくつものトンネルが作られました。
明治29年に工事が始まった、
旧笹子トンネルのために、
東にある初狩では、レンガが大量に焼かれました。
当時、初狩の村長だった小林吉造は、
そのレンガを使って、このお蔵を建てたのです。
開口部は重厚な観音扉、
そしてその上部は、アーチ型に積まれています。
屋根に至るまでレンガが丁寧に積まれ、
その仕事ぶりが伺えます。
頑丈な建物は戦時中、
旧陸軍の保存庫にも使われたといわれます。
文明開化と共に渡来し、
日本の近代化を支えたレンガ技術。
100年以上経っても、竣工当時と変わらない、
美しさと堅牢さを誇っています。
2016年10月11日 23:00