第30回「宮光園」(10月25日放送)
甲州市勝沼町の「宮光園」。
ワイン産業と観光ブドウ園の先駆者・宮崎光太郎が、
明治25年から自宅に整備した、
貴重な建物の数々が残されています。
中心施設が、明治29年に建てられた「主屋」。
この地域に多く見られる養蚕のための甲州民家でしたが、
昭和3年に、1階は純和風のままで、
2階だけ、洋館風に改造されました。
西洋文化の象徴・ワインを意識してのことでした。
皇族や政府の要人も訪れた宮光園。
醸造所を見学した後、
前座敷・奥座敷でもてなしを受けました。
床下にある地下蔵は、修復工事の際に発見されました。
2階は、一間置きに縦長の上げ下げ窓がつけられ、
外壁は、豆砂利洗い出しという、
改修当時としては、大変モダンな姿。
天井が吹き抜けの開放的な室内、現在は、
ワインと宮光園の歴史や、貴重な資料を、
くつろぎながら学ぶことができます。
大正時代には、
ぶどう狩りと工場の見学をセットにした、
観光スタイルを始めました。
「観光ブドウ園」は、ここから始まったといわれます。
他にも敷地内には、蔵や貯蔵庫などが残され、
往時の姿を伝えるために、修復が現在も続いています。
山梨が、ワイン醸造の中心地となる礎を築いた、
貴重な近代産業遺産です。
2016年10月25日 22:00