紹介した建物

第38回「猿橋水路橋」(12月20日放送)

12月20日猿橋水路橋

大月市を流れる清流、桂川。

 

名勝・猿橋の東側、険しい崖が迫った場所に、

「猿橋水路橋」があります。

 

日本初の電力会社・東京電灯株式会社が、

「八ツ沢発電所」を作るにあたり、

水を送るため、明治45年に建設しました。

 

長さ約64メートル、幅は約6メートル。

橋梁の形式として3つの案が検討され、

当時の最新技術、

「鉄筋コンクリートアーチ橋」が採用されました。

 

スリムな印象のアーチ部分は、

現在も堅牢に水路を支えています。

 

両端は、坑門に赤レンガの積まれた

水路トンネル。

 

水路両側の通路に載る、

高欄のコンクリート柱は、

角が丁寧に面取りされた、当時の仕上げが残っています。

 

梁の役割を果たす蛇腹のようなコンクリート板も、

当時のまま。

 

橋を流れる豊かな水の始まりは、

「八ツ沢発電所」よりさらに古い歴史を持つ、

上流の「駒橋発電所」で使われた水。

その水を再利用し、再び発電が行われています。

 

約14キロの水路のほとんどを、

地上の水路や地下のトンネルで導く中、

桂川の右岸で取水した水を、約30mの高さを保ったまま

対岸へ送るため、この水路橋が架けられたのです。

 

 

建設当時、水力発電所として、

東洋一の規模を誇った八ツ沢発電所。

珍しかった鉄筋コンクリートアーチで架けられた橋は、

100年以上経った今も、水を運び続け、

山梨の電力を支えています。

2016年12月20日 23:06