2025年9月18日(木)放送 野生動物との共生見えない境界線
出演者情報

T.M.WORKS 轟秀明さん
野生動物の交通事故死「ロードキル」を防ごうと、自動車部品の企画・開発力を生かし、シカが嫌がる音を発生させる「鹿ソニック」を開発。研究と実証実験を重ね、クマやイノシシ、鳥にも効果がある装置も開発し、全国の幹線道路や線路沿い、空港などに設置されています。
放送内容
Q.T.M.WORKSさんのお仕事について教えてください。
A.富士河口湖町にある自動車部品メーカーで、その製造技術を応用して、シカ、イノシシ、クマ、鳥などの野生動物が嫌がる音を発生させる装置を開発しています。それぞれの動物が嫌がる音の周波数を研究し、全国各地の行政機関と連携しながら実証実験を重ね、製品化しています。
人の体に影響を及ぼさない点も特徴です。7年前に最初に開発した装置が、シカを遠ざける「高周波音」を発生させる「鹿ソニック」で、現在は、岡山理科大学の辻維周教授らと研究・実証を共同で行っていますシカの食害に困っている畑をはじめ、JR東日本管内や富士急行線などの線路沿いのほか、ネクスコ中日本、東日本管内の高速道路沿いなどでもシカの侵入対策として活用いただいています。

Q.開発のきっかけを教えてください。
A.野生動物が道路上で車に轢かれて死んでしまう事故「ロードキル」です。富士山の自然環境保全に取り組んでいる富士山アウトドアミュージアムからの相談を受け、富士北麓エリアで多発していたロードキルを自分たちの技術で何とかできないかと思い、開発に乗り出しました。日産自動車とは鹿児島県奄美大島で、絶滅危惧種のアマミノクロウサギのロードキルを防ぐための実証実験も進めています。また、鹿ソニックの技術を活用して開発した、鳥を追い払う装置「バードソニック」は航空機に鳥が衝突するバードストライク対策として、関西国際空港など全国9カ所の空港で導入されています。今年はクマによる被害が相次いでいることを受け、クマやイノシシが嫌がる音を発生させる装置「くまドン」への問い合わせを頂いております。

Q.今後の目標を教えてください。
A.「音」に着目した技術で、動物と人、それぞれの生活との間に目に見えない境界線を引くことで、野生動物による被害を防ぎ、それが野生動物の命を守ることにもつながると考えています。各地で実証実験を重ねて、より効果がある装置にするための改良を進めていきたいと思います。その一方で、果実の木があったらきちんと実を回収したり、生ごみをきちんと片づけたりするなど、野生動物を人の生活圏に呼び寄せない行動が大切であることも知って頂きたいです。








