2025年9月22日(月)放送 動物園とアニマルウェルフェア
出演者情報

甲府市立動物園 秋山多江さん
1919年に開園した日本有数の歴史ある動物園。2027年4月のリニューアルオープンを目指して再整備中で、現在は、動物たちに会える見学会を開催したり、動物たちの様子をSNSや動画投稿サイトで紹介したりしています。
放送内容
Q.甲府市立動物園について教えてください。
A.大正8年に創立し、2025年で106年目の国内でも歴史が深い動物園です。アジアゾウやライオン、ペンギンなど38種113頭の動物を飼育していまして、現在、動物福祉にも配慮し、動物にも人にも優しい動物園を目指して、動物たち本来の生態をご覧になって頂けるような工夫を取り入れたリニューアル工事を進めています(2025年9月時点)。

Q.動物福祉とはどのような考え方でしょうか。
A.「動物愛護」は人が動物を慈しみ、守り育てる精神を育てるという人間側からの視点」であるのに対して、「動物福祉」は、人に飼育されている動物の視点に立ち、その動物自身の心理的、肉体的な健康を保つために必要な環境を整えるという考え方で、アニマルウェルフェアとも言われます。野生では様々な環境で、それぞれ異なる生活環境がある中、動物園の動物は、限られた空間の中で過ごしています。動物が本来の生態にあった生活が送れるように、生活環境を整えたり、能力にあった行動を引き出す工夫を取り入れたりすることで、その動物らしさが発揮できる場でありたいと考えています。

Q.具体的にどのような取り組みをされているんですか。
A.例えばゾウでは、草の入ったかごを、高い位置に取り付けることで、鼻を伸ばしてえさをとれるようにしたり、砂や土を浴びられるように砂場を作ったりしているほか、チンパンジーは、高い位置にハンモックを取り付けることで、人工的ではありますが野生に近い行動がとれるような工夫を施してきました。今回のリニューアル工事でも、動物福祉の観点を生かしていまして、野生では土の上や草むらに巣を作って生活しているマゼランペンギンは、その暮らしを再現できるように、プールだけではなく、陸上の部分にもこだわった獣舎の計画を立てています。ほかにも、ライオンの獣舎には、周囲を見渡せるような台の設置、木登りが得意なマレーグマは、高低差をつけた獣舎にしました。来園者には動物の目線に立って、動物たちが望んでいる行動を一緒に考えてくれると嬉しいです。甲府市立動物園は現在、休園中ですが、動物たちの様子をYouTubeやInstagramなどで発信していますので、ぜひチェックしてみてください。








