2026年9月22日(火)放送 獣医師と歩む山梨発の技術力
出演者情報

株式会社スワ 望月直樹さん
自動車部品や計測機器など、精密機械加工で培った技術力を生かして医療機器分野に参入。ペットブームを受け、2009年にチタン製の動物専用骨折インプラント「タイタンロック」の初代モデルを発売し、現在、全国の動物病院で普及しています。
放送内容
獣医師とどのような製品を開発されているんですか。
株式会社スワは、1970年に創業した富士吉田市の精密部品メーカーです。自動車やOA機器、測定機器などに使われる、小さいものでは数ミリほどの部品を、ミクロン単位で加工して製造しています。そうした精密加工の技術を生かして、現在は、動物用の医療機器の開発・製造にも取り組んでいます。その代表的な製品が犬や猫の骨折の治療に使われる、チタン製のインプラント「タイタンロック」です。骨折した部分にこのプレート・タイタンロックを当てて、専用のスクリューで骨を固定します。犬や猫は体の大きさも骨の形もさまざまですので、骨の大きさや骨折の状態に合わせて、さまざまなサイズや形状を用意しています。チタンは、軽くて強度が高く、腐食しにくいなど、医療機器に適した素材ですが、加工が難しい素材です。そこで、山梨県の富士技術支援センターや山梨大学の先生方にもご協力いただきながら、チタンの加工技術や試験、設計などについて研究を重ねました。そうした研究機関との連携や技術支援、そして、実際にその器具を使って動物の命を救う現場の獣医師の先生方の声をいただけたことで製品化にこぎつけました。

獣医師との共同開発について教えてください。
私たちは、製品を作って終わりではなく、実際にその製品を使って手術をする獣医師の先生方と一緒に、より使いやすく、より安全に改良していくことを大切にしています。例えば先生から「もう少し小さいものが欲しい」「この骨の形に合うようにしてほしい」「手術のとき、ここがもう少しこうなっていると使いやすい」といった現場の声をいただきます。それをもとに、私たちが設計して試作品を作る。そして先生に実際に確認していただいて、また改良する。そうしたやり取りを繰り返しています。新たな製品の開発にもつながっていまして、その一つが、犬や猫の膝の手術などに使われる「TPLOプレート」です。前十字靭帯の損傷などに対して行われる手術で使うプレートです。特に小型犬や猫の場合、骨そのものが細くて小さいので、そこに使うプレートも、より小さく、より精密であることが求められます。ただ、小さく、薄くするだけではなくて、骨の形に合わせて、角度やカーブ、穴の位置なども考えなければなりません。そこで、外科専門の獣医師の先生方と相談しながら試作品を作って、実際に確認していただき、また改良するということを繰り返しました。また、強度試験や耐久試験を行うだけでなく、実際の臨床現場で安全に使えるかを確認することも重要です。TPLOプレートでは、専門医による100症例を超える臨床試験を行い、術式や術後の経過を確認しながら、安全性の検証を進めました。

動物用医療機器の開発への想いを教えてください。
スワが手がける製品、医療器具は届けて終わりではなく、獣医師の先生方と一緒に作り上げて、先生方と一緒に育てていく。進化し続けるモノにしたいと考えています。私たちだけでは分からないことが、医療現場にはたくさんあります。先生方から実際の症例や手術について教えていただき、そこで出てきた課題を、私たちの加工技術や設計技術でどう解決できるかを考える。その繰り返しです。ケガをしてしまった犬や猫が、また元気に歩いたり、走ったりできるようになる。そして飼い主さんにも、安心してもらえる。動物たちや、動物との暮らしを未来につなぐより良い製品を獣医師の先生方と一緒に作っていきたいと思っています。動物たちの体は、人間以上に小さく、繊細です。だからこそ、より小さく、より精密に、そして安全に。獣医師の先生方の声をしっかり聞きながら、実際の医療現場で必要とされる製品を開発していきたいと思っています。今後も、さまざまな骨折や症例に対応できる製品の開発を進めて、山梨から動物医療を支えていきたいと考えています。



