ぶぅふぅうぅ農園
出演者情報
ぶぅふぅうぅ農園 中嶋千里さん
放送内容
ぶぅふぅうぅ農園について教えてください。
ぶぅふぅうぅ農園は、韮崎市穂坂町にあります。穂坂町は、茅ヶ岳の山麓に広がる自然豊かな丘陵地帯で、富士山や南アルプス、八ヶ岳など、山々の眺望も素晴らしい場所です。日照時間が長く、比較的土地が乾燥しているので、ブタを健康に育てるのにとても適した環境なんです。そんな自然豊かな場所で、私たちは「完全放牧」という方法でブタを育てています。2ヘクタールほどの広さを農園にブタたちが毎日、元気よく走り回ったり、寝そべったり、のびのびと過ごしています。放牧地を2つに分けて、交互に使う「二圃式」を取り入れていまして1年ごとに土地を休ませると、ブタの病気の予防にもつながります。自然環境を生かした完全放牧には、45年ほど前から取り組んでいます。私は学生時代を東京で過ごしていまして、当時はちょうど経済成長が加速していた時期で、公害問題なども出てきました。そのときに「発展だけが本当に良いことなのか?」と考えるようになったんです。同じころ、化学肥料や農薬についても問題視されるようになりまして仲間たちと自給自足的な農業をする共同体のようなものを作ったことが、この道に進んだきっかけです。独立した当時から「完全放牧」を経営の基盤にしてきました。

ぶぅふぅうぅ農園の飼育のこだわりを教えてください。
感染症などを予防する抗生物質をブタに与えていない点です。これは養豚の世界では、ほとんどないことです。一般的な養豚では、効率化のために、母乳を飲む期間を短くして、高い栄養の配合飼料を早い時期から食べさせるため、離乳が早いんです。早いところでは、生後23日ほどで離乳させるようです。十分に成長する前に離乳すると、穀物を消化する腸内細菌の働きが弱く、子豚の胃腸に負担がかかります。下痢をしたり、最悪の場合は死んでしまったりすることもあります。そこで、ぶぅふぅうぅ農園では、子豚が母乳を飲む期間を45日間に設定し、長くしています。母乳で育つ期間が長くなるとブタの免疫力が高まります。結果として、抗生物質の投与が必要なくなるんです。もちろん、病気になった場合には、豚の負担を減らすため、応急処置として抗生物質を使う場合があります。さらに太陽の光を浴びて、土の上を走り回る。そうしたストレスの少ない環境で育つことで、ブタが本来持っている生命力が引き出されます。そのため抵抗力も強く、病気になることは少ないんです。

エサにもこだわりがあるそうですね。
ぶぅふぅうぅ農園では、繁殖、子豚、肥育と、それぞれの時期に合わせて、自家配合飼料を与えています。日本の畜産は、ほとんど輸入のエサに頼っています。そこで私は、食品を製造する際に捨てられてしまう副産物「エコフィード」を使うことでエサの国産化を進めていますできるだけ輸入飼料に頼らない畜産に力を入れています。原料がしっかり確認できる、エコフィードとして、具体的には、米ぬか、ナチュラルチーズ、パン、乾麺などを使っています。パンは栄養価が高くて、お肉にサシが入りやすくなるんです。食品を無駄にしないという意味でも、環境に優しい取り組みですが、エコフィードは、手に入る量や種類が安定しません。乾燥させたり、細かく砕いたりする手間もあります。それでも続けているのには、理由がありまして、完全放牧でよく動いて、エコフィードでエサに対する対応能力も上がれば豚の健康につながります。だからこそ、エサの成分がブタの成長にどのような影響を与えるのか常に気を配りながら、自家配合飼料の研究を続けています。ブタを商品としてではなく、生き物として愛情を持って扱う、そんなアニマルウェルフェアも考え方や取り組みがさらに広がって健康に、快適に暮らせる動物たちが増えてくれたら嬉しいです。アニマルウェルフェアが注目されてきたことで、畜産をやってみたいという若者も出てきました。ただ、理想だけでは続かない、厳しい仕事でもあります。だからこそ、志のある若者を受け入れていく体制を整えて、技術を伝えていきたい。それが、これからの私のやるべきことだと考えています。



