2025年4月25日放送
こちらで放送内容を聴くことができます
クマ出没に注意!
荒木 近年、ツキノワグマの目撃情報が増加しています。県では、昨年から、SNSで専用アカウントを開設してクマの目撃情報を発信するなど注意喚起を強化しています。暖かくなり、活動が活発になるクマとの遭遇を回避するにはどうすればよいでしょうか?
山梨県 自然共生推進課 望月 紘一郎 さんとお伝えします。
荒木 望月さん、最近よく市街地にクマが出没するニュースをみますが、どんなことが起こっているんでしょうか?
望月 そうですね。クマは本来、人目を避けて暮らす動物ですが、ドングリ類の不作などにより、クマが里山にまでやってくるケースが増加しています。シカやイノシシなどは農業被害が中心ですが、クマの場合は人身被害につながる可能性があります。
荒木 去年、山梨でも人身被害が発生していますから気を付けたいですね。まず、ツキノワグマは、どんな生態の動物でしょうか?
望月 はい。先ほども申し上げた通り、ツキノワグマは基本的には人を避ける動物です。しかし、突発的に出会うと防御的な攻撃を招いて危険な場合があります。このため、まず、クマのことをよく知ることが重要になります。
荒木 例えばクマはどんなものを食べるんでしょうか?
望月 クマは、季節や年によって食べ物を柔軟に変化させています。春は山菜など、秋にはどんぐりなど木の実や果物などを食べています。基本的には植物を食べますが、機会があればシカの死体など肉を食べることもあります。
荒木 季節によって変化…なんでも食べるということですね。
望月 そうですね。クマの餌場となる場所にはできるだけ近づかない、また餌場に近づく必要がある場合は十分に注意が必要になります。
荒木 山梨でツキノワグマは何頭くらい生息しているんでしょうか?
望月 令和2年度に実施したモニタリング調査では、県内のツキノワグマの生息数は527頭と推測されています。こちらのデータは山梨県のHPで公開しています。また、令和6年度のツキノワグマの出没・目撃頭数は、過去最多の346頭となっています。
荒木 そんなに目撃されているんですね!では、私たちはクマに対してどのような注意をすればよいでしょうか?
望月 まずクマに遭遇しないために、入山する際は、通行者の多い登山道を利用しましょう。鈴や笛、ラジオなど音のするものを身に着け、人間の存在を知らせること、ゴミは持ち帰ること、子熊を見かけたらすぐその場を離れること、などを注意してください。
荒木 山菜取りなどで山に入る機会も増えますし、気を付けたいですね。ぜひラジオをお供にしていただければと思います。しっかり対策をして入山しても、もし、クマと遭遇してしまったら、どうすればよいでしょうか?
望月 まず慌てず、それからいきなり動くことはしないで、物音をたてないようにその場を立ち去りましょう。その際、大声で叫んだり、石や棒を投げたりすることはしないでください。また、近距離で遭遇した場合は、クマを見つつ、ゆっくりと後ずさりしてください。背をみせると、クマに襲われる可能性があります。
荒木 慌てずに!ですね!また、自宅にクマを引き寄せないようにするにはどうすればよいでしょうか?
望月 屋外に放置された果物や野菜はクマを引き寄せます。落下した果実や野菜くず、ペットフードも放置せずに処理してください。また不要な果樹は伐採することをおすすめします。
荒木 山梨は果樹が多いですから、注意してほしいですね。他はいかがでしょうか?
望月 ぬか漬けなどの発酵食品・ペンキ・ガソリンなど匂いの強いものを屋外に置かないことも大切です。「強い匂い」はクマを寄せ付けます。物置や屋内に保管をお願いします。また、人とクマの生活圏を区別するためにも、定期的な草刈りをして、見通しのよい環境づくりを日ごろから心がけていただきたいと思います。
荒木 はい、わかりました。県では、クマの被害にあわないため、チラシを制作し、県HPに掲載しています。手元にありますが、とてもわかりやすいので、ぜひ参考にしてください。さらに、SNSでも注意喚起を行っているんですよね?
望月 昨年9月から「X(旧ツイッター)」に専用アカウントを開設して、出没情報を速報しています。市町村が出没情報の連絡を受けたら、すみやかに県へ情報提供する仕組みで、その情報を県が「X」で発信しています。X開設当時、都道府県では秋田県がメールとLINE 、福井県がメールで速報していましたが、「X 」での配信は全国初の取り組みとなります。Xは拡散性が高く、多くの人に周知しやすいということから採用しました。
ぜひ、山梨県自然共生推進課のアカウントのフォローをお願いします。
荒木 山梨県自然共生推進課のアカウントをフォローですね!
望月 Xのプッシュ通知を設定していただくと、情報を見逃さずに確認いただけると思います。
荒木 プッシュ通知は便利ですね! その他はいかがでしょうか?
望月 「X 」での配信に加えて、クマの出没場所が分かるマップを昨年11月から県HP で公開しています。令和元年以降の出没場所を地図に表示して、年度ごとの出没状況や直近1ヵ月の出没場所、出没頻度の高い地域に加えて、出没時間や頭数なども確認することができます。マップは市町村からの出没情報を踏まえて、順次更新されています。
荒木 こちらのマップも出没情報が詳細に掲載されています。望月さん、ぜひ県民の皆さんに参考にしていただきたいですね!
望月 そうですね。これからクマが活発に活動する時期になります。クマとの遭遇を回避するための情報として、自然共生推進課のXや、クマ出没マップを活用してもらいたいと思います。なお、県では人とクマとの共生も重要と考えており、ツキノワグマの保護と人間との接触の軽減の両立を目的に、ツキノワグマの保護管理指針を策定しています。この指針に基づき、クマが人里に近づきにくい環境を整備することや、人身被害を減らすためクマへの正しい知識の普及などを行っています。また、昨年の目撃情報が過去最多となったことを受けて、今後新たな指針を策定するため、本年度改めて生息調査を実施していきます。
荒木 はい、わかりました。この時間は山梨県 自然共生推進課 望月 紘一郎 さんとお伝えしました。ありがとうございました。
望月 ありがとうございました。