2025年7月25日放送
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補助金でお得に耐震化
荒木 令和6年1月1日に発生した能登半島地震では、家屋の倒壊によって多くの尊い命が奪われました。その倒壊した家屋の多くが旧耐震基準のもと建てられた住宅でした。山梨県では、市町村と連携して、旧耐震基準で建てられた木造住宅の耐震診断や耐震改修にかかる費用の一部を補助し、住宅の耐震化を進めています。
荒木 きょうは「耐震化の補助制度」について
山梨県 県土整備部 建築住宅課 建築防災担当 渡邉 徹(わたなべ とおる)さんとお伝えします。渡邉さん、よろしくお願いします。
渡邉 よろしくお願いします。
荒木 渡邉さん、山梨でも大きな地震が起こることが想定されていますから、住宅の耐震化が必要になりますね?
渡邉 はい、本県では、南海トラフ地震の地震防災対策推進地域に25市町村が指定され、活断層による地震被害も想定されています。
県は耐震改修促進法の基本方針に基づき、「山梨県耐震改修促進計画」を策定し住宅の耐震化を進めてきました。その結果、平成17年度末時点で72.3%であった耐震化率を、令和2年度末時点で87.3%まで引き上げられましたが、目標とする95%を達成するためには一段と取り組みを加速させる必要があります。
荒木 山梨ではどのくらい耐震化が必要な住宅があるのでしょうか?
渡邉 県内には耐震性がない住宅が、約4万戸あると推計されています。
荒木 地震はいつ起こるかわからないので、対応を急ぎたいですね。住宅の耐震化を検討する基準はありますか?
渡邉 そうですね。昭和56年(1981年)5月以前に建てられた木造住宅は、建築基準法に定める耐震基準が強化される前のいわゆる旧耐震基準で建てられているため、倒壊のリスクが高くなっています。令和6年元日に発生した能登半島地震でも、この旧耐震基準で建てられた木造住宅の被害が特に大きかったと分析されています。県では、市町村と協力してこの昭和56年5月以前に建てられた木造住宅を対象に、耐震化の支援を行っています。
荒木 昭和56年5月より前に建てられた木造住宅ですね。どうすれば補助を受けることができますか?
渡邉 はい。まず、昭和56年5月以前に建てられた木造住宅にお住まいの方には耐震診断を受けていただきます。こちらの診断は自己負担ゼロ。無料で受けることができます。お住まいの市町村に申し込むと、耐震診断技術者である建築士が派遣され、「壁の位置」や「ひび割れ」などの状況を調査します。後日、「耐震診断結果」をお知らせし、「耐震性がない」と診断された場合には、「耐震改修の方法」や「耐震改修費用」などについて建築士より説明いたします。
渡邉 令和6年度には、467戸の耐震診断を行いましたが、まだ、この無料の耐震診断をご存じでない方も多いので、県では市町村と協力して戸別訪問を行ったり、各種広告媒体への掲載、防災イベントへ参加するなど、啓発活動を強化しているところです。
荒木 まずは、無料の耐震診断を行って、改修が必要と判断された場合は、方法や費用を提示していただけるということですね。どのくらい補助していただけるんでしょうか?
渡邉 はい。日本建築防災協会が公表している資料によると耐震改修費用は一般的な木造2階建ての住宅で200万円前後要するといわれていますが、このうち、最大143万7,500円まで補助を受けることができます。また、住宅を建て替える場合にも同様の補助が出ます。
荒木 最大で143万7,500円…これはかなり大きな補助ですね。
渡邉 そうですね。国土交通省が以前一般の方を対象に行ったアンケート調査によりますと、耐震改修をしない理由として最も多いのが「費用負担が大きいから」となっています。県の補助金も令和5年には最大で100万円でしたが、能登半島地震の状況や建設費の高騰などを踏まえて補助額を143万7,500円まで増額しています。また、改修費用をより安く抑えるための低コストな工法を採用することによって、自己負担をより抑えたり、自己負担ゼロで改修が行えるケースもあります。
荒木 耐震改修の事例をご紹介いただけますか?
渡邉 はい、富士吉田市にお住まいの方のケースをご紹介します。昭和50年に建てられた2階建ての住宅ですが、一般的な工法で耐震改修をした場合の費用総額は約233万円でしたが、必要な耐震性能を満たすために最低限必要な耐力壁を設置するだけの改修を行う低コスト工法を採用した結果、費用総額は約165万円となりました。今年度は、約143万円の補助がありますので、自己負担は約22万円に抑えられることになります。工期も44日から25日に短縮され、生活への支障も最低限になりました。
荒木 それは一度検討していただきたいですね。でも、所有者が高齢の方などは、手続きが難しいと考える人も多いのではないでしょうか?
渡邉 はい。そこで、今年から、補助申請のできる対象者を住宅の所有者に限定する規定を撤廃しました。これまで、補助申請は所有者本人がすることとしていたのですが、所有者が高齢のため申請が難しいという声が寄せられていたので、離れて暮らす家族や親族が代わりに申請して改修できるように手続きを緩和しました。
荒木 それはありがたいですね。お子さんやお孫さんなどが申請できるわけですね。
渡邉 そうなんです。例えば、ご自身は新しい住宅にお住まいでも、実家が古くて、心配だという方もいらっしゃると思います。そんな時は、ぜひご家族と一緒に耐震化について考えてみてください。また、様々な理由から改修工事が難しいという方には、住宅内に「耐震シェルター」や「防災ベッド」を設置する工事費に、最大36万円の補助があります。こちらもぜひご検討ください。
荒木 県内ではどのくらいの方が耐震化をされているんでしょうか?
渡邉 昨年度は改修が36戸、建て替えが26戸、合わせて62戸の耐震改修・建て替えが行われました。また耐震シェルター・防災ベッドは7戸に導入されました。
荒木 木造住宅の耐震改修の補助制度、ぜひ大勢の方に活用していただきたいですね!
渡邉 そうですね!能登半島地震を契機として支援制度を拡充したことによって従来よりも少ない自己負担で耐震化できるようになりました。耐震化を始める第一歩は、ご自宅が地震にどのくらい強いかを知ることです。まずは無料の耐震診断を実施していただきたいと思います。
荒木 無料の耐震診断は、お住まいの市町村の建築担当窓口で申し込みをお願いします。また詳しいお問合せの電話をご紹介します。
山梨県 県土整備部 建築住宅課 建築防災担当 電話 055-223-1734までお願いします。
荒木 この時間は「耐震化の補助制度」について、渡邉 徹(わたなべ とおる)さんとお伝えしました。渡邉さん、ありがとうございました。
渡邉 ありがとうございました。