2025年10月24日放送
こちらで放送内容を聴くことができます
STOP!消費者トラブル ~正しい知識で安心生活~
荒木 近年、電話勧誘やSNSの広告を入口とした悪質商法による消費者トラブルが増加しています。きょうは実際の相談事例をもとに具体的なトラブル回避術をご紹介します。
荒木 山梨県 県民生活センター 山口真樹子さんとお伝えします。よろしくお願いします。
山口 よろしくお願いします。
荒木 山口さん、まず県民生活センターはどんな業務を行っているのか教えていただけますでしょうか?
山口 県民生活センターは、法律相談や消費生活相談など各種相談業務を担っています。今回のテーマの消費生活相談は、商品の購入やサービスの利用に関する契約トラブルなどについて専門の相談員が解決に向けたアドバイスを行っています。また県民に正しい知識を普及する啓発活動も行っています。
荒木 それは心強いですね。県民生活センターにはどのくらい相談が寄せられているんでしょうか?
山口 昨年度に寄せられた消費生活相談件数は3,319件で、当事者の年代が判明している相談件数のうち、70歳以上が32.3%を占めて最も多くなっています。
荒木 高齢の方のトラブルが多いんですね!?どんな相談が寄せられていますか?
山口 点検商法や電話勧誘に関する相談があります。点検商法とは、「点検」と称して突然訪問をして「修理をしないと危険」などと言って、不安をあおり契約させる商法です。例えば屋根や床下の工事、給湯器や分電盤、浄水器の交換に関する相談が多く寄せられています。
荒木 具体的にどんな感じでやってくるんでしょうか?
山口 「近所で行う工事の挨拶に来た」などと言って突然訪問し、「屋根瓦がずれているため無料で点検してあげる」と言って点検した後に、「このままだと瓦が飛んでご近所に迷惑がかかる」などと不安をあおって工事の契約させる手口がみられます。給湯器交換では、訪問で突然給湯器の点検を持ち掛け、不安をあおって高額な給湯器の交換を迫る手口が多くみられます。また、「自治体から委託を受けた」、「ガス会社から依頼された」などと身分を偽るケースも見られます。
荒木 不安を煽られると、あせって契約してしまいそうですね。
山口 そうなんです。「無料で点検する」などと訪問されても、安易に点検させないようにしましょう。その場ですぐに契約せず、ご家族や身近な人に相談するなど十分に検討したうえで契約してください。また、保険金などを利用できるというセールストークには気をつけてください。
電話勧誘では「以前、購入された方に電話をしている。」などと言って、カニなどの海産物を送り付けてくる事例もあります。電話で勧誘を受けた際、少しでもおかしいと感じたら、きっぱりと断りましょう。また、断ったのに一方的に商品が届いても受け取りを拒否し、代金を支払わないでください。受け取ってしまった場合でも、電話勧誘の場合は、販売業者に対し返金を求めることができます。
荒木 クーリング・オフですね?
山口 そうです。電話勧誘販売はクーリング・オフ制度が適用されます。クーリング・オフは、契約後に冷静に考え直す時間を消費者に与えるため、条件を満たす取引について一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。2022年6月からは、書面だけでなく電子メールや専用フォームなどのデジタルの記録でも通知が可能となりました。
荒木 クーリング・オフができる契約を教えてください。
山口 クーリング・オフが「できる」取引と期間は、
■訪問販売
■電話勧誘販売
■エステ、パソコン教室、美容医療などの特定継続的役務提供
■業者が消費者の自宅等を訪ねて商品を買い取る訪問購入
で、8日間。
■マルチ商法などの連鎖販売取引
■内職商法などの業務提携誘引販売取引
は20日間となっています。
荒木 通信販売のトラブルはありますか?
山口 例えば「今だけの特別価格」などと通常より低価格を強調した動画やSNS広告を見て、健康食品や化粧品を注文したら、定期購入が条件だったという相談が多く寄せられています。購入回数が決められていたり、解約のため事業者に電話してもつながらなかったりする場合もあります。通信販売では基本的にクーリング・オフ制度はありませんので、商品を注文する際には、条件、支払う総額、解約・返品できるのかをしっかりと確認してください。そして「最終確認画面」はスクリーンショットで必ず保存しましょう。
荒木 通信販売は大勢の方が利用していますから、トラブルも多そうですね。
山口 そうですね。ほかにも「注文した大幅値引きのブランド品が届かない」、「代引きで届いた商品が偽物だった」といった事例も報告されています。
荒木 私たち消費者が悪質なサイトを見分けるポイントはありますか?
山口 例えば、ブランド品が通常よりも著しく安い価格で販売されている、説明が不自然な日本語の文章となっているなどの特徴がみられるサイトは要注意です。また、支払いが代引きに限定されている、振込先が個人名義の口座の場合も注意が必要です。さらに、サイト上に事業者の名称、住所、電話番号の記載がない、キャンセル・返品・返金に関するルールが記載されていないといったサイトがあります。これらの特徴に当てはまり、少しでも怪しいと感じたら注文を控えましょう。
荒木 私も注意したいと思います。その他、気をつけておきたいトラブルはありますか?
山口 はい。近年はSNS関係の相談が特に増加しています。SNSをきっかけとした定期購入以外にも、「SNSの広告から副業サイトに登録したがやめたい」、「SNSで知り合った人からFX投資を勧められ、口座に振り込むように指示された」などの相談が寄せられています。
トラブルにあわないためには、SNSの広告を鵜呑みにしない、また、楽して簡単に儲かるなど、SNSでの副業やもうけ話などの勧誘にも注意してください。甘い言葉には裏があります!
その他のトラブルの事例と対処法は山梨県の公式YOUTUBEチャンネル「山梨チャンネル」や県民生活センターのHPで紹介しています。
荒木 ちょっとでも「おかしいな」と思ったら相談ですね!県民生活センターの相談方法を教えてください。
山口 相談は電話、来所、また電子メールでも受け付けています。相談時間は平日8時30分〜午後5時までとなっています。消費生活相談の受付は、055-235-8455です。
荒木 この時間は、山梨県 県民生活センター 山口 真樹子 さんとお伝えしました。山口さん、ありがとうございました。
山口 ありがとうございました。



