2025年9月26日放送
YBS山梨放送 > 安心やまなしメモ > 未分類 > 2025年9月26日放送

2025年9月26日放送

こちらで放送内容を聴くことができます

 

介護離職ゼロへ、山梨県のケアラー支援

荒木 山梨県は、県民一人ひとりが自由な選択をし活躍できる「介護離職ゼロ社会」の実現を目指し、ケアラー支援を推進しています。きょうはケアラーを取り巻く現状や課題、支援策を詳しくご紹介します。

 

荒木 山梨県 働く人・働き方支援課 長田直樹さんとお伝えします。よろしくお願いします。

 

長田 よろしくお願いします。

 

荒木 最近、「ケアラー」という言葉を目や耳にするようになりました。改めて「ケアラー」について教えてください。

 

長田 「ケアラー」とは、心やからだに不調を抱える家族や親族、知人などを、無償でケアしている人のことです。ケアは、介護だけでなく、看病、療育、世話、気遣いなども含まれます。

 

荒木 ケアと一口に言っても、いろいろなケースがあるんですね。

 

長田 そうなんです。近年「ヤングケアラー」といって、家族のケアを日常的に行う子どもが社会問題になっています。また、働きながら家族のケアを行う「ビジネスケアラー」、子育てと親の介護等を同時に行う方は「ダブルケアラー」とも言われています。さらに、「遠くに住む親が心配で頻繁に通っている」だったり、「障害や病気の家族の世話や介護をいつも気にかけ」たりする方も「ケアラー」になります。

 

荒木 本人が自覚していなくても「ケアラー」になっているかもしれませんね…。

 

長田 令和6年度に山梨県が実施したケアラー実態調査によると、回答者の約4人に1人が何らかの形でケアを担っているとわかりました。ケア対象者は高齢者が多くを占めていますが、ひきこもりの家族のケアなど、様々なケースがありました。また、ケアの内容は、介助だけでなく、通院付き添いや感情面のサポートなど多岐にわたり、精神的・身体的負担が大きいことが明らかになっています。

 

荒木 介護をするために仕事を辞める…という話も聞きます。

 

長田 そうですね。ケアラーに該当する方のうち、ケアによって「離職・失職した」方が8.5%もいました。また、ケアによって「遅刻・早退・欠勤」したり、「仕事の内容を変更」するなど、多くの影響が出ています。

 

今年、2025年は団塊の世代の方々の全てが75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」の始まりの年です。これは個人や家庭内の問題にとどまらず、望まない介護離職が多発など、県民の社会活動・地域経済の発展にも広く悪影響を与えうる深刻な問題と考えています。

 

荒木 様々な影響がありそうですね。そこで対策ということですね。

 

長田 はい。山梨県は、県民一人ひとりが自由な選択をし、活躍できる「介護離職ゼロ社会」の実現を目標にしています。そのため県はこのケアラーの問題を非常に重く受け止めて支援策を展開しています。

 

荒木 具体的にはどんな内容でしょうか?

 

長田 はい。県は、ケアラー支援を社会全体で推進するための施策を進めるにあたり、それらを「ケアラー支援推進パッケージ」として体系的に整理し、今年5月に発表しました。このパッケージは、
① 「気づく」⇒ケアラーの存在・支援の重要性に気付いてもらう
② 「つなぐ」⇒必要なサポートへの円滑な接続に向けた体制づくりの構築
③「支える」⇒ケアラーの心身の負担軽減が図られる支援サービスの充実
の3つの視点に整理しました。

 

荒木 『気づく』、『つなぐ』、『支える』ですね!まず『気づく』ための取り組みを教えてください。

 

長田 はい。誰でも気軽にケアラー支援に関する正確な情報・手続きが一元的にわかるよう、「やまなしケアラー支援ポータルサイト」を開設しました。このポータルサイトでは「こんな時どうすればいい?」など「ケアラー」の基礎知識が学べるほか、ケアラー向けのケース別の相談窓口の情報、各市町村の利用できる支援サービスや相談窓口などを案内しています。

 

荒木 スマホで気軽にアクセスできるのは便利ですね!

 

長田 既にご家族等をケアされている方は、今すぐに必要な支援情報を得られるだけでなく、将来「ケアラー」になるかもしれない方も、「ケアラー」に関する基礎知識を得て将来に備えることができるので、多くの方に利用してほしいと思います。

 

荒木 他にも「気づく」ための取り組みはありますか?

 

長田 はい。ケアラーの方が、地域包括支援センターや、支援機関へと円滑な接続ができるように、「ケアラーサポーター」制度を開始しました。県民の皆さんと直接関わりながら啓発を行うなど、介護等でお困りの方が支援サービスへ接続できるよう手助けするなど、地域に根差した相談体制を構築していきたいと思っています。

 

荒木 介護離職を防ぐ取り組みはいかがでしょうか?

 

長田 介護離職のあった企業の割合は令和4年度から増加傾向にあります。 介護休業・介護休暇などの制度導入や、育児・介護休業法改正への対応は半数程度にとどまっている状況です。そこで、県内企業の経営者・管理職向け啓発セミナーの開催や、従業員への周知用ハンドブックの作成、人事・総務担当者向けの介護リテラシ-勉強会を開催していきます。

 

荒木 まずは知ることが大切ですよね。では「つなぐ」ための取り組みはいかがでしょうか?

 

長田 県の調査結果からも、支援機関から見てケアラー支援が進まない理由について「ケアラーである自認がない」が56.6%にも及ぶという現状でした。そこで県は、ポッドキャストによるラジオ番組「やまなしつながる時間~気づき・繋がり・支えあう~」を制作し、広く情報発信しています。

 

荒木 ポッドキャストですか!? どんな番組でしょうか?

 

長田 ケアの体験等を持つゲストを迎え、「ケアラー・介護」「ひきこもり」、そして「困難を抱える女性」などをテーマに配信し、第1回は、介護福祉士の資格を持つ、お笑いコンビ「メイプル超合金」安藤なつさんをゲストに迎え9月11日に配信しました。radikoポッドキャストをはじめ、様々なプラットフォームで配信しています。詳しくは「やまなし つながる時間」で検索して、ぜひお聴きください。

 

荒木 そして「支える」取り組みについて教えてください。

 

長田 ケアラーの方々への支援をより充実させるため、土日祝日専用の電話相談窓口「山梨県ケアラー電話相談」を今月96日から開設しました。支援が届きにくかった時間帯にも、介護の専門職が対応して、介護の悩みを抱えるケアラーの方々が、必要な支援につながる機会を広げます。

 

荒木 「山梨県ケアラー電話相談」。相談時間は、土曜・日曜・祝日、午前9時~ 午後9時まで。相談料金は無料ですが、通話料は別途かかります。電話番号は、055-223-1452です。詳しくは「やまなしケアラー支援ポータルサイト」をご覧ください。

誰もがケアラーになりうるということや、様々な支援策が進められていることを知ることができました。みんなで理解を深めて、支援の輪を広げていきたいですね。

 

長田 はい。ケアラーが抱える困難は、本人や家族だけの問題ではなく、社会全体が共感をもって受けとめ、支えていく必要がある問題です。今回は取り組みの一部のご紹介となりましたが、県民一人ひとりが自由な選択をし活躍できる「介護離職ゼロ社会」の実現に向け、今後さらにこの取り組みを発展させていきます。

 

荒木 この時間は、山梨県働く人・働き方支援課 長田直樹さんとお伝えしました。長田さん、ありがとうございました。

 

長田 ありがとうございました。

次回は10月24日(金)17時15分放送

ホームへ戻る