2025年11月28日放送
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林野火災を防ごう
荒木 例年、冬から春にかけて林野火災が多発しています。ここ山梨でも例外ではなく、多くの林野火災が発生しています。そこで、きょうは林野火災の原因や注意すべきこと、火災予防の新しい取り組みなどを詳しくご紹介します。
荒木 山梨県 防災局 消防保安課 宮川 勇一さんとお伝えします。よろしくお願いします。
宮川 よろしくお願いします。
荒木 宮川さん、これからの季節、林野火災が多く発生していますが、どんな理由があるんでしょうか?
宮川 はい。冬は森林内に落ち葉が積もって燃えやすい状態になっていること、風が強いこと、特に太平洋側では乾燥した状態になるといった自然条件が重なります。春には行楽や山菜採りのために山に入る人が増加するほか、農作業に由来する枯れ草焼きなどが山林に飛び火することが原因となっています。全国の林野火災の7割以上が1月から5月にかけて発生しています。
荒木 山梨でも多くの火災が発生していますよね?
宮川 そうですね。県土の約78%を森林が占める県内でも、林野火災は毎年発生しています。令和元年から令和5年のあいだに80件、焼損面積は約3.4ヘクタールとなっていて、大火の発生時期は年末から春にかけての時期に集中しています。
記憶に新しいのは、今年1月に発生した笛吹市・大蔵経寺山の火災です。そして2月の大月市猿橋の火災では150ヘクタールが焼失しました。
また、県内戦後最大規模の林野火災は平成9年3月、勝沼町深沢の火災で、375ヘクタールが焼失しました。これはサッカーコート約525面分の広さになります。
荒木 今年は岩手県でも大規模な林野火災がありましたよね?
宮川 今年2月に岩手県大船渡市で発生した火災は国内最大規模の約3,370ヘクタールが焼失しています。
荒木 想像もつかない規模の焼失ですね。
宮川 はい。大規模になってしまうのも林野火災の特徴です。早期消火・延焼拡大防止の観点から迅速な対応が求められますが、林野火災特有の事情から消火が困難になります。
山間部は道路が整備されていなかったり、道幅が狭かったりするため、消防隊や消防車両の進入が困難です。また、水源が近くになく消火用水の確保が困難であること。さらに、夜間はヘリコプターによる消火活動が停止されるため、消火活動が限定的など様々な要因で被害が広がってしまいます。
荒木 では、どんなことが原因で林野火災は発生しているんでしょうか?
宮川 令和元年から令和5年に発生した林野火災のうち、原因が明らかなものをみると、「たき火」がもっとも多く、次に「野焼
きなどの火入れ」、「放火、これは、疑い含みます」、そして「たばこ」となっていて、多くが人的要因によるものです。
荒木 では、火災を予防するにはどんなことが必要でしょうか?
宮川 林野火災の原因の多くが人的要因であることから林野火災対策においては、出火の防止を徹底することが重要となります。そのため、火の取り扱いについては以下の意識を徹底して守ることが必要です。
①枯れ草等のある火災が起きやすい場所でたき火をしない
②たき火等火気の使用中はその場を離れず、使用後は完全に消火する
③強風及び乾燥時にはたき火・火入れをしない
④火入れを行う場合は、市町村長の許可を必ず受ける
⑤たばこは指定された場所で喫煙し、吸い殻は必ず消す
⑥たばこの投げ捨ては絶対にしない
⑦火遊びはしない
これらを徹底してください。
荒木 火を扱う場合は細心の注意を払ってください。そして、林野火災防止のため、新しい取り組みもはじまったそうですね?
宮川 今年2月に発生した岩手県大船渡市での林野火災は、4,000人以上に避難指示が出され、1人が死亡、住宅87棟を含む、200以上の建物が被害を受け、鎮火までに40日以上を要し、焼失面積は3,000ヘクタール以上と国内最大規模の林野火災となりました。この火災を受けて、消防庁は各自治体に新たな防止策を促しています。
荒木 どのような防止策でしょうか?
宮川 はい。まずは「たき火の届け出」です。たき火をする際は、消防機関への届け出を義務づけています。
そして「林野火災注意報の新設」です。降水量が少なく、乾燥する日が続くなど、火の取り扱いへの注意を早めに呼びかけることを目的に、林野周辺の住民等に火の使用制限の努力義務を課しました。(罰則なし)
さらに、「林野火災警報の発令基準が明確化」されました。
発令基準は、林野火災注意報の基準に加え、気象庁が強風注意報を発表した場合と明確化されました。これまでは発令基準が自治体ごとに異なるなどの課題があり、発令実績が少なかったためです。「火の使用制限」に違反した場合は30万円以下の罰金等罰則規定があります。
荒木 たき火をする際は届け出を行う、そして林野火災注意報に耳を傾け、しっかり火の使用制限を守ることが大切ということですね。
山梨県ではどんな取り組みが行われていますか?
宮川 県では、各地の林務環境事務所を中心に、例年、12月からパトロール、山火事予防の看板設置、入山者への啓発活動を実施しています。平成27年度からは、従来の森林保全巡視員の活動を引き継ぐ森林保全推進員に加え、推進員の活動に対し指導・助言を行い被害の実態把握に従事する森林保全指導員を加えた新たな体制で活動を行っています。
また、林野火災予防ポスターの配付、ポスター原画と標語の募集、林野火災が多発する12月~5月を中心に県広報事業による新聞、テレビ、ラジオなどで啓発を行っています。また、市町村では有線放送や広報誌により啓発も行って、林野火災の予防を呼びかけています。
荒木 ルールをしっかり知って、火災を防ぎたいですね。
宮川 先ほども申しましたが、林野火災は消火が困難なため大規模な災害・被害につながります。林野火災の原因のほとんどが人的要因によるものです。ということは、一人一人の心がけ一つで防ぐことができます。出火の防止を徹底していただきたいと思います。
荒木 この時間は、山梨県 防災局 消防保安課 宮川 勇一さんとお伝えしました。ありがとうございました。
宮川 ありがとうございました。



