がんに負けない健康講座

第3回がん遺伝子パネル検査の流れ・費用

「がん遺伝子パネル検査」は、残念ながらすべての患者さんが受けられるわけではありません。対象となるのは、既に効果が確立されている一般的な「標準治療」が終了しているか、終了見込みの方、罹患しているがん種に標準治療がない場合、最初にどこに発生したのか分からない原発不明がん、珍しい希少がん、小児がんなどです。分からない場合は主治医にお訪ねください。
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検査の流れは、患者さんのがん組織や血液を採取して、次世代シークエンサーという検査機でがん細胞の遺伝子を調べます。数百もの関連遺伝子の結果を、「エキスパートパネル」と呼ばれる専門家たちよる会議で検討し、その結果を主治医が参考にしながら治療法を提案していきます。患者さんへの結果説明まで2カ月ほどかかります。
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エキスパートパネルに参加するのは、主治医や病理医、遺伝カウンセラー、遺伝子医学やがんゲノム・がん遺伝子・バイオインフォマティック・生命情報科学などの専門家集団です。検出された遺伝子の変化がどういう働きをするのか、対応できる薬剤があるのか、推奨すべき薬剤はどんなものか、臨床試験の順位付けなどを話し合い、最終的に患者さんに適した治療法を検討します。
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がん遺伝子パネル検査は保険適応になっています。実際に患者さんが病院で払う金額は患者さんの年齢や負担割合によって違います。1割負担で5万6千円、2割負担で11万2千円、3割負担で16万8千円です。高額療養費制度を用いることで経済的負担を減らすことができます。
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これまでのがん治療は、肺がんや大腸がん、乳がんなど、部位別のがんの種類により治療法や薬が選ばれてきました。しかし、最近は、がんの原因となる遺伝子の解明が進み、遺伝子の変化に基づいて一人一人に合った治療が行われるようになってきました。解明できていないことも多いのですが、確実に進化しており、今後のがん治療のさらなる進歩に期待しています。
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講師紹介

古屋 信二氏

山梨大学医学部消化器外科(第一外科)助教

古屋 信二(ふるや・しんじ)氏

山梨市出身。山梨医科大学卒。専門は下部消化管(大腸・肛門)外科。医学博士。日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、消化器がん外科治療専門医、日本消化器病学会専門医、ロボット外科学会専門医、消化器内視鏡学会専門医。日本がん治療認定機構がん治療認定医。