がんに負けない健康講座

第2回がん遺伝子パネル検査

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がんは遺伝子が変異することで起こる病気です。そのため、がん細胞に起きている遺伝子変化を調べることで、そのがんの特徴を知ろうというのが「がん遺伝子パネル検査」です。パネルとは、検査対象となる遺伝子のセットのことで、この検査では一度に数百の遺伝子を解析できます。
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がん細胞を採取して、その遺伝子を詳しく調べることで、それぞれのがんに合った適切な治療を検討できます。これは「次世代シークエンサー(NGS)」と呼ばれる検査装置が登場したことで大きく進歩しました。かつては1人1人の遺伝子情報を読み取るのに13年かかっていましたが、NGSの登場で、一度に数百ものがんに関連する遺伝子をわずか1日で読みだすことができるようになりました。
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1990年以降に登場した「分子標的薬」は、こうした遺伝子検査から誕生した薬です。従来の抗がん剤は、がん細胞を破壊する半面、正常な細胞にも作用して副作用が生じることもありました。しかし、分子標的薬は、がん細胞の特徴ともいえる異常な働きをするタンパク質のみをターゲットとして作用します。
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残念ながらすべての遺伝子情報が今の治療に直結するわけではありません。しかし、保険診療で使える薬剤がある、または治験中の薬剤がある遺伝子ということが分かれば、治療につながります。今後は新たな薬も次々に開発されてくるでしょうし、明確な治療方法が増えてくるはずで、患者さんにとっても心強いことだと思います
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講師紹介

古屋 信二氏

山梨大学医学部消化器外科(第一外科)助教

古屋 信二(ふるや・しんじ)氏

山梨市出身。山梨医科大学卒。専門は下部消化管(大腸・肛門)外科。医学博士。日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、消化器がん外科治療専門医、日本消化器病学会専門医、ロボット外科学会専門医、消化器内視鏡学会専門医。日本がん治療認定機構がん治療認定医。