2024年3月22日放送
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2024年3月22日放送

こちらで放送内容を聴くことができます

 

 

 

自殺対策強化月間

 

小松 3月は「自殺対策強化月間」です。自殺を予防するために私たちにできることについて、山梨県福祉保健部 健康増進課 村松 功宇貴(むらまつ こうき)さんとお伝えします。よろしくお願いします。

 

村松 よろしくお願いします。

 

小松 3月の自殺対策強化月間は、どのような理由から設けられているのでしょうか。

 

村松 3月は年度末で多忙になることや、新年度を控え環境が変わりやすく、ストレスを抱えやすい時期でもあります。自殺対策基本法では、そのような理由から、自殺が多くなりやすい3月を「自殺対策強化月間」と定め、県では市町村と連携して相談事業や啓発活動を行っています。

 

小松 県内の自殺者数は、どのように推移していますか?

 

村松 山梨県に住所を有する自殺者の数は、2011年まで連続で200人を上回っていましたが、近年は減少傾向にあります。最新の結果である、2022年の自殺者は132人で、人口10万人当たりの自殺者の数を示す自殺死亡率は16.8と、前の年の2021年に続き、全国平均を下回りました。一方、2022年に山梨県内で発見された自殺者は前の年より増えていて、山梨県の自殺死亡率は全国を上回っている状況です。

 

小松 山梨県では、県内に住所を持つ方だけでなく、他県からの自殺者についても対策が必要なんですね。自殺の原因・動機にはどのような問題があるのでしょうか。

 

村松 山梨県の自殺の原因・動機では、「健康問題」が最も多く、近年増加傾向にあるのが、「経済・生活問題」と「勤務問題」です。

 

小松 健康問題を苦にした自殺も多いということですが、経済や、仕事に関わる問題も増えているんですね。年齢に特徴はありますか?

 

村松 2018年から2022年までの自殺死亡率を、年齢別にまとめた統計を見ますと、山梨県では、30歳代・40歳代、80歳以上を除いた世代で全国を上回っている状況です。

 

小松 そうなりますと、20歳代の若い世代。そして50歳代から70歳代という人生の円熟期にいる世代にも自殺者が多いのですね。

 

村松 さきほど、自殺の原因や動機についてお伝えしましたが、自殺は「誰にも起こりうる」身近な問題です。将来にわたって誰も自殺に追い込まれることなく、安心して生きることができる社会とするには、県民一人ひとりが心の健康や自殺の問題について関心を持ち、正しい知識を身に付けることが大切です。

 

小松 その第一歩として、私たちが個人でできることは何でしょうか。

 

村松 小松さんは「ゲートキーパー」という言葉をご存じでしょうか?ゲートキーパーとは悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る人のことです。

 

小松 具体的にどのように見守ることができるのでしょうか?

 

村松 悩みを聞くこと、相談者に寄り添うことが大切です。「死にたい」と思っている人でも、心の中では「生きたい」という気持ちと激しく葛藤していて、誰かに気持ちを打ち明けたいと思っているケースが多いです。そうした人たちに声をかけ、話を聞くことによって、自殺を思いとどまらせることは不可能ではありません。

 

小松 荷が重い気もしますが、誰でもできるものなんでしょうか?

 

村松 意欲と心がけ次第で、誰もがゲートキーパーの役割を担うことができます。求められているのは、専門の相談機関につなぐための「架け橋」のような役割なので、専門的な知識や技術は必要ありません。声かけをするときや当事者に話を聞く時には、相手のペースに合わせて聞くこと、また話をそらさないことが大切です。そして安易に激励したり、否定や批判をすると、当事者のストレスとなりますので注意してください。相手の話をじっくりと聞き、ねぎらいの言葉をかけることを心がけていただけると当事者の方の気持ちもやわらぎます。

 

小松 ゲートキーパーとしてどのような準備や心構えが必要ですか

 

村松 地域の相談窓口を事前に確認しておくことや、新聞やニュースをチェックしておくと役立つ場合があります。そしてゲートキーパー自身の健康管理も大切です。ゲートキーパーが負った心の負担や悩みを相談できる場所も必要です。

 

小松 県では自殺防止についてどのような取り組みを行っていますか?

 

村松 県では平成284月に定めた「山梨県自殺対策に関する条例」で、31日を『山梨いのちの日』として、私たち一人ひとりが命と真剣に向き合う日としています。このほか910日~16日の自殺予防週間、3月の自殺防止強化月間の期間中も啓発を行っています。

 

小松 今年は新しい取り組みも行われているようですね。

 

村松 今年初めて、ドラッグストアに相談窓口を紹介するポップを設置しました。いま、辛い気持ちや悩みによる苦しみを紛らわせる目的で、市販薬を過剰に摂取するオーバードーズが問題になっています。そこで不眠・不安の軽減薬や、頭痛薬、かぜ薬の商品棚に、ワンフレーズのメッセージと、相談窓口の2次元コードを載せたスイングポップを、クスリのサンロード様のご協力により県内各店舗に設置しています。

 

小松 啓発動画も放映しているんですよね。

 

村松 県では、サッカーJ2のヴァンフォーレ甲府の三平選手にご出演いただき、誰かに相談することやつながることの大切さを呼びかける動画を作成しました。今月末まで甲府市役所の大型ビジョンに投影されているほか、動画サイトYoutubeの「山梨チャンネル」でも公開しています。

 

小松 今月9日に行われたヴァンフォーレ甲府のホーム開幕戦でもスタジオアムのビジョンに投影されましたね。

 

村松 サポーターの皆さんに選手からのメッセージを届けることができました。このほか、タクシー等の車両に自殺防止をよびかけるステッカーの掲示も行っています。今月は県内のさまざまな場所で啓発を行っていますので、ぜひ県民の皆様には理解を深めていただき、自殺は「社会的な取り組みで防ぐことができる」という共通の認識を持っていただきたいです。

 

小松 きょうは、自殺対策強化月間について、 山梨県福祉保健部健康増進課 村松 功宇貴さんとお伝えしました。ありがとうございました。

 

村松 ありがとうごうざいました。

 

 

次回は4月26日(金)17時15分放送

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