2024年6月28日放送
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初期救急医療センターの開設
小松 突然の病気やケガの夜間の救急診療。従来の救急医療体制は社会環境の変化によって安定的な運営が困難になってきています。そこで山梨県は市町村などと協力して、夜間の急な病気やケガの診療を行う初期救急医療センターを山梨大学医学部附属病院内に設置しました。
きょうは「初期救急医療センターの開設」について山梨県福祉保健部医務課 課長補佐 中嶋秀也さんとお伝えします。中嶋さん、よろしくお願いします。
中嶋 よろしくお願いします。
小松 病気やケガはいつおこるかわかりません。そこで頼りになるのが救急医療ですが、今回開設した「初期救急医療センター」とはどんな施設なんでしょうか?
中嶋 はい、初期救急医療=一次救急とも呼ばれる「比較的軽症の救急患者さん」に対応する施設です。入院治療の必要性がなく、自力で医療機関を受診することができて、受診後も自力での帰宅が可能な軽症患者さんに対応するものです。
小松 初期救急医療センターを開設するに至った経緯を教えてください。
中嶋 現在の救急医療体制は、昭和52年に基本的な体制が整備され、在宅当番医制度や救急病院の輪番制が始まっています。その後も随時見直しが図られながら、今日まで運営されてきました。しかし、医師の高齢化が進んだことや、地域間の偏りなどによって、初期救急医療の担い手が不足していて、地区ごとの医師会が市町村の委託を受けて実施している在宅当番医制の運営が困難になってきています。
また、救急患者のおよそ半数が軽症であることから、入院治療が必要な重症者に対応する二次救急病院が、軽度の初期救急患者さんへの対応に多くの時間を割いている状況があります。
小松 なるほど、重度な患者さんを診る二次救急病院が、初期救急まで対応している現状なんですね。県内での初期救急患者さんは年間何人くらいいるんでしょうか?
中嶋 はい、現在年間2万5千人を越える患者さんが、在宅当番医などを受診しています。しかし今後、高齢化が進むことによって、さらなる救急需要の増加が見込まれています。このような状況のなかで、医師会からも初期救急医療体制の抜本的な見直しが求められていました。
さらに、医師の働き方改革という流れもあって、今年4月以降、勤務医の時間外労働が、原則・年960時間までとなったことで、さらなる救急医療の逼迫も懸念されている状況です。
小松 そこでこの度、開設されたのが、初期救急医療センターというわけですね?
中嶋 はい。持続可能な救急医療体制を構築するため、県や、市町村、病院、医師会などの関係機関と協議をすすめてきました。その結果、医療資源が充実していて、安定的な運営が可能な山梨大学医学部附属病院にセンターを設置することとし、先月、5月17日に開設いたしました。
小松 山梨大学医学部付属病院に設置されたんですね。初期救急医療センターを利用するにはどうすればよいでしょうか?
中嶋 はい、受診を希望する場合は、事前にセンターへ電話連絡をお願いします。また、「すぐに病院へ行った方がよいか」、「救急車を呼ぶべきか」悩んだり、ためらわれたときは、救急安心センターやまなしへ連絡をして相談してください。
小松 では私から連絡先の番号をお伝えします。初期救急医療センターは☎055-273-1122
また病院へきくべきか、救急車を呼ぶべきか悩んだ時は救急安心センターやまなし、♯7119
ダイヤル回線からは☎055-223-1418です。
センターではどんな診療科目の診察をしていただけますか?
中嶋 診療を受け入れるのは、内科系、外科系、眼科の軽症患者さんです。眼科はオンコール=医師の院外待機での対応となります。
それ以外の小児科や産婦人科、歯科については、従来どおり、センターとは別の救急体制での対応となりますが、子どものけがはセンターでも対応できる場合もありますので、お問い合わせいただきたいと思います。またセンターでは対応が難しいと判断された場合は、輪番制の2次救急病院での対応となります。
小松 センターでの対応は内科系、外科系、眼科の軽症患者さんですね。初期救急医療センターの診察時間はどうなっていますか?
中嶋 センターの診療は毎日、午後6時~11時まで、受付時間は午後10時30分までとなっています。土日祝日、年末年始も診療を行います。
小松 センターを利用する際の注意点はありますか?
中嶋 センターは応急処置が中心となりますので、継続して治療が必要となる場合は、翌日以降、かかりつけ医など地域の医療機関での受診をしていただくことになります。また、センターは限られた医療スタッフによって運営されていますので、夜間に急を要する場合のみ利用してもらい、日常的な病気や軽いけがの場合は、かかりつけ医をはじめ、身近な診療所やクリニックなどを受診してください。
小松 緊急性の高い方への治療を優先させるためにも、こちらご協力いただきたいですね。
中嶋 そうですね!県民の皆様には、医療機関のひっ迫を防ぎ、本当に緊急度が高い方に必要な医療が速やかに提供できるよう、ご協力いただきたいと思います。日中は仕事や用事があるなどの理由でセンターを受診する、いわゆる「コンビニ受診」は、緊急性の高い方を長時間待たせることになるので控えていただきたいと思います。
小松 急な病気やケガ、迷ったら、まずは救急安心センターやまなし「♯7119」に相談してください。ぜひ「#7119」覚えていただきたいと思います。
この時間は「初期救急医療センター」について、山梨県福祉保健部医務課 課長補佐 中嶋秀也さんとお伝えしました。中嶋さん、ありがとうございました。
中嶋 ありがとうございました。