2024年7月26日放送
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2024年7月26日放送

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新しい富士登山

小松 今月1日、山梨県側の富士山が山開きされて、富士登山シーズンに入りました。山梨県は、今年度富士山の安全な登山のために様々な対策を行っています。きょうは「新しい富士登山」について山梨県 富士山保全・観光エコシステム推進グループ 山下英明さんとお伝えします。山下さん、よろしくお願いします。

 

山下 よろしくお願いします。

 

小松 今年も大勢の方が富士登山をされると予想されます。去年はどのような状況でしたか?

 

山下 はい、昨年5月、新型コロナウイルス感染症が、「5類」に移行して初めての登山シーズンとなりました。さらに世界文化遺産登録10周年の節目と重なり、観光需要が高まりました。特に、山頂で御来光を見るため、夜間に大勢の登山者が訪れ、山頂付近で過度な混雑が発生しました。また、夜間に五合目を出発して、山小屋に泊まらず一気に山頂を目指す「弾丸登山」も見受けられました。令和5年は山梨県側の吉田ルートからが一番多く、およそ14万人でした。

 

小松 14万人が2か月ほどの間に登るとなると、相当混み合いますね。

 

山下 そうですね。例年、7月中旬以降に登山者が増え始めて、週末やお盆に集中する傾向にあります。そこで、これまで特に混み合う吉田口登下山道に、1日当たりの登山者数を 4,000 人とする指標を設け、入山規制はないものの、指標を目安に登山者の平準化のための対策を行ってきたところです。

 

小松 そういった背景のもと、今年度、山梨県は新たに様々な安全対策を実施しているということですね?

 

山下 はい。「山梨県富士山における登山の適正化に関する条例」などが、今年2月議会において可決、制定されたことを受けて、大きくわけて3つの対策を実施することにしました。

 

小松 3つの対策ですね。では1つめから教えてください。

 

山下 はい、1つめは吉田ルートの五合目の登山道にゲートを設けました。山小屋宿泊の予約がある人を除いて、通行規制を実施しています。

午後4時から翌日午前3時までは5合目のゲートを閉鎖して通行を規制するとともに、1日の登山者が 4,000 人に達した場合は通行を規制します。

 

小松 2つめは何でしょうか?

 

山下 2つめですが、今年度は、登下山道を利用=通行する場合は、知事の許可を受ける形になり、通行料を1人1回につき、2,000 円納付していただきます。また、これまで同様に富士山保全協力金 1,000 円については引き続き協力をお願いしています。

 

小松 通行料は1人1回、2,000円。また富士山保全協力金1,000円は引き続きお願いするということですね。そして3つめは何でしょうか?

 

山下 3つめは「富士登山適正化指導員」の配置です。富士登山適正化指導員は、登山者の生命や危険が生じるおそれのある行為をしている、または危険な行為をしようとしている登山者に対して、指導するとともに、登山道やその周辺を巡視、監視を行います。

 

小松 「富士登山適正化指導員」…海の安全を守るライフセーバーさんの登山版といった感じでしょうか。通行料金や協力金はどういったかたちで活用されるんでしょうか?

 

山下 通行料は登山の安全誘導・巡回指導、ゲートの整備や運営費、災害時の応急や復旧、登下山道の維持管理、外国人のサポートなどに使用させていただきます。任意の協力金は救護所の運営、臨時公衆トイレの設置・管理、外来植物の侵入防止などに使用します。

 

小松 これから富士登山したい場合、どうすればよいでしょうか?

 

山下 新しい登山スタイルによる混乱・トラブルの回避と登山者の利便性向上のため、通行予約システムを導入しました。富士登山を希望される方は、「富士登山オフィシャルサイト」から「山梨県富士山吉田ルート通行予約システム」にアクセスして予約、そして通行料の支払いをクレジットカードか QR 決済でお願いします。手続きが終わると、QRコードが付いた「完了メール」が届きます。登山当日は五合目の受付で端末にQRコードをかざし、配布されるリストバンドを着用することで通行できます。

 

小松 予約はいつまでに行えばよいでしょうか?

 

山下 予約は登山前日の夜1159分まで受け付けます。代表者1回の処理で最大100人分の決済ができます。任意の富士山保全協力金の同時決済も可能となっています。

 

小松 予約の際の注意点はありますか?

 

山下 このシステムによる通行予約は任意になります。事前決済が完了した時点で、自己都合によるキャンセル・変更については返金ができません。また登山予約があっても山小屋宿泊者以外は午後4時以降、五合目から通行ができません。

 

通行料免除対象者となる、修学旅行生や障害者などの予約ですが、

システム上での予約ができないため、直接、県にお問い合わせいただき、事前に予約枠を確保してください。

 

小松 予約だけで上限人数に達した場合、現地に行っても登山できないでしょうか?

 

山下 当日受付分を1,000人以上確保しています。予約をしていない場合は、当日、早めに五合目に行って受付をされることをおすすめします。

 

小松 登山者が山小屋に宿泊する場合は、宿泊予約だけでなく、通行予約もする必要がありますか?

 

山下 通行予約は任意事前予約をしておくことで人数制限を気にせず、早めに計画を立てることが可能になり、安心して現地入りできると思います。また事前決済も併せて済ませておくと、五合目の窓口で支払いを行うことなく、スムーズに登山が開始できます。これは受付の混雑回避にもつながります。さらに、事前に登山者数が把握できるので、規制の最適なオペレーションができて、登山者へ正確な情報を発信することができます。

 

小松 7月1日から、予約やゲートの時間規制がはじまりましたが、これまでいかがでしょうか?

 

山下 これまで大きなトラブルなくスムーズに実施できています。富士山パーキング、富士山駅、河口湖駅での周知についても、登山者の多くが規制について承知しており、トラブルは発生しておりません。一合目等から登山する方については、五合目のゲートを通過すると同様に通行料が発生しますので、お気をつけください。通行規制などの情報は、随時、富士登山オフィシャルサイト・Xなどで発信しています。

 

小松 今年の富士山の開山期間はいつまでになりますか?

 

山下 吉田ルートは9月10日までとなっています。

 

小松 富士登山、しっかり準備をして臨んでいただきたいですね。

 

山下 富士山は簡単に登れる山ではありません。弾丸登山は病気やケガの原因になりますので、絶対にやめてください。また、山小屋に宿泊して体調を管理しながら、安全に富士登山を楽しんでいただきたいと思います。

 

小松 この時間は山梨県 富士山保全・観光エコシステム推進グループ 山下英明さんとお伝えしました。山下さん、ありがとうございました。

 

山下 ありがとうございました。

次回は8月23日(金)17時15分放送

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