2026年 5月22日放送
こちらで放送内容を聴くことができます
流域治水
荒木 近年の気候変動により、これまでの想定を超えた大規模な水害が発生しやすくなっています。
水害を防ぐため、減らすために私たちは何をすればいいのか?詳しくご紹介します。
山梨県県土整備部治水課 流域治水担当の岡部政弘さんです。よろしくお願いします。
岡部 よろしくお願いします。
荒木 今回のテーマである「流域治水」という言葉。聞き馴染みが無いのですが、どういったことなのでしょう
か?
清水 「流域治水」というのは、大雨のときに水があふれるのをできるだけ防ぎ、被害を減らすための考え方で
す。これまでのような川の工事だけでなく、雨水が集まる地域や浸水のおそれがある地域も含めて、あら
ゆる関係者が力を合わせ、流域全体で対策に取り組むものです。
荒木 あらゆる関係者ということは、国や県、市町村だけでなく住民や企業も含むということなんですね。
なぜその「流域治水」という考えが生まれたのでしょうか?
岡部 近年は気候変動の影響で大雨による災害が激しくなり発生も増えています。実際に令和2年には熊本県の
球磨川などで大きな被害が発生し、従来の河川整備だけでは防ぎきれない状況になってきました。
そのため地域全体で水を受け止める考え方として流域治水が生まれました。
荒木 そうなんですね。山梨県でも同じような被害が起こりうると予測されている地域はあるのですか?
岡部 山梨県内でも同じような水害が起こる可能性はあります。甲府盆地には日本三大急流のひとつである富士
川が流れていて、大雨のときに水につかるおそれがある「洪水浸水想定区域」が広く指定されています。
また、令和2年に大きな被害が出た熊本県の人吉盆地と甲府盆地の地形がよく似ていることからも、同じ
ような水害が起きる可能性もあり、山梨県でも油断できない状況にあると言えます。
荒木 では、山梨県では「流域治水」をどのようにおこなっていくのでしょうか?
岡部 流域治水は対策のテーマに沿って川の中だけでなく、その周りの地域も含めたさまざまな場所で、幅広い
取り組みを行っていきます。
荒木 対策テーマはどういったものがあるのでしょうか?
岡部 対策のテーマは、3つあります。
1つ目は氾濫を防いだり減らしたりする対策、
2つ目は被害を受ける人や建物を減らす対策、
3つ目は避難や復旧を早める対策です。
荒木 具体的には?
岡部 具体的には、まず1つ目の「氾濫を防いだり減らしたりする対策」として川の幅を拡げたり堤防を強くし
たりして、大雨のときでも水を安全に流せるようにしていきます。また、道路や駐車場を水がしみ込み
やすい舗装にすることで、雨水を地面に浸透させる工夫も行います。
次に2つ目の「被害を受ける人や建物を減らす対策」としては、水につかりにくい場所へ住宅を誘導した
り土地を少し高くしたりして、水害に強いまちづくりを進めていきます。
そして3つ目の「避難や復旧を早める対策」では、防災情報を分かりやすく伝えたり、ハザードマップを
整備したり、防災訓練を行ったりして、いざというときにしっかり避難できる体制を整えています。
荒木 山梨県としては、どのような取り組みをしているのでしょうか?
岡部 山梨県では流域治水をどのように進めていくのか、基本的な考え方や方向性を示した「山梨県流域治水
対策推進基本方針」に基づいて取り組みを進めています。これに基づいて、関係する機関が連携して対策
を進めています。
現在は横川の流域など4つの流域でそれぞれ具体的な行動計画を作り、その計画に沿って対策を進めてい
ます。また、普及・啓発の取り組みとして小学生向けの出張講座も行っています。講座では、小さな模型
にじょうろで雨を降らせて、対策のある町とない町で水の流れがどう変わるのかを実際に見てもらい、理
解を深めてもらっています。さらに、流域治水を分かりやすくまとめた約12分の解説動画を制作してい
て、県のYoutubeで公開しています。ぜひご覧いただければと思います。
荒木 私も動画を見たのですが、アニメになっていて親しみやすい内容になっていました。流域治水がモチーフ
となった歌のショート動画も面白かったです。
岡部 山梨県では令和7年9月に県内で初めて南アルプス市と中央市にある横川の流域を「特定都市河川」とその
流域に指定しました。特定都市河川の指定は雨水の流れが増えてしまうのを抑え、水害のリスクをこれ以
上高めないようにするため、実際の土地利用にも具体的なルールが設けられました。
例えば、宅地以外の土地で雨水が地面にしみ込みにくくなるような行為には、知事などの許可が必要とな
ります。その際には雨水をためたり、しみ込ませたりする施設を設置することが義務づけられています。
こうした取り組みによって、水の流れる量が増えてしまうのを防ぎ、水害のリスクを高めないようにする
ことで、流域治水の効果をより高めています。
荒木 県民の私たちが出来ることには、どんなことがあるでしょうか?
岡部 まず大切なのは、ご自分が住んでいる地域の地形を知り、ハザードマップを確認して、いざというときの
備えをしておくことが重要です。また、日常の中でもできることとして、例えばプランターを置くことで
も雨水を一時的にためることができ、水が一気に流れ出るのを抑える効果があります。
こうした小さな取り組みも、流域治水につながっていきます。
荒木 最後に県民のみなさんにメッセージをお願いします。
岡部 「流域治水」は雨水をただ川に流すだけではなく、私たちの暮らしの中でも受け止めて水害を減らしてい
こうという取り組みです。災害はいつどこで起きてもおかしくありませんが、一人では防げなくても、み
んなで取り組めば被害を小さくすることができます。
山梨県治水課のホームページでは、今日ご紹介した動画やパンフレットをご確認いただけます。是非一度
ご覧いただき、一緒にできることを考えていただければと思います。
荒木 この時間は、山梨県県土整備部治水課 流域治水担当の岡部政弘さんとお伝えしました。



