女性のための健康セミナー

第2回手指のしびれとこわばりって!?(2月14日放送)

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女性ホルモンが関係する手に表れる疾患で有名なものの一つが「手根管(しゅこんかん)症候群」です。手首から手の平にかけて存在する手根管という硬い繊維でできた、トンネル状になった膜の中を1本の神経と9本の指を曲げる腱が走っています。さまさまな理由でこのトンネル内の神経が圧迫されて手に症状が出てくる病気を手根管症候群といいます。

手根管内から広がる神経は1本で親指から薬指(親指側)までの感覚をつかさどっていて、神経が圧迫されるため指先がしびれてきます。典型的な症状は、夜寝ている間に手がしびれて目が覚めることです。明け方になるとそのまま寝られなくなる方もいます。おもしろいことに手を振るとそのしびれが消えるというのが初期の典型的な症状になります。半面、手を振ってしびれが消えるため、見過ごしてしまう人も少なくありません。悪化すると親指の動きが悪くなり、ボタンがかけられない、コインを拾えないなどの日常生活にも支障をきたします。
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危険因子には①女性②妊婦さん③家族歴(家族に同じような病気を持っている人)④使い過ぎ―などがあり、これ以外にもリウマチ、糖尿病、透析患者さんは罹患しやすいといわれています。
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受診していただけば理学所見により90%以上の確率で診断がつきます。
治療は、初期であれば手首を曲げたり伸ばしたりしにくくなる添え木(サポーター)をあてることが一番効果的です。夜寝るときのみで十分な改善が望めます。このほか、ビタミン剤を中心とした飲み薬やリハビリテーションでの超音波などで症状が改善するケースも多いです。

痛みやしびれの症状が改善しない、親指の動きが悪いといった場合は手術になります。手術は局所麻酔で行い、手術時間は15分ぐらいですが、術後約2週間は水仕事ができないなど日常生活への影響は避けられません。それだけに、初期の段階での対応が賢明で、しびれや痛みを感じたら遠慮せず、受診することをお勧めします。
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「ばね指」は、指をグーに握って開く途中で引っかかった指を頑張って開こうとした際に、ポンと勢いよく伸びるのがそれです。バネ現象に似ていることからこの名前がつきました。これは腱鞘炎の一つです。指の曲げ伸ばしにかかわる「腱」を支えている「腱鞘」という硬い膜が炎症を起こし発症します。初期は指や手の平が痛く、悪化してくるとこうしたバネ現象が起きてきます。さらにひどくなると指が全然動かなくなります。
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自分の力で指を動かせないなどの進行した状態では手術が必要になることもありますが、初期の段階では安静にして、手根管症候群同様、装具、内服薬、外用薬、リハビリテーションで改善することが多いです。
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原因の一つには女性ホルモン(エストロゲン)があります。エストロゲンが更年期などで急激に減ることで滑膜に炎症が起き、症状を引き起こします。女性だけでなく、手の使いすぎや、糖尿病やリウマチを持っている方なども腱鞘炎を起こしやすくなります。

進行した際の治療法は、指の付け根にステロイド注射を打ちます。それでも治らない場合は手術になります。局所麻酔で行い、手術時間は5~10分程度で日帰り手術が可能です。術後3カ月で約8割、5人に4人は無症状になるといわれていますが、手術直後からもしっかり治療していかなければいけないというのがバネ指の特徴です。こちらも初期の段階で受診することをお勧めします。

※グラフなどは医療法人楓林会 さとう整形外科院長佐藤信隆医師提供
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