女性のための健康セミナー

第4回骨粗しょう症に負けない(2月28日放送)

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女性に圧倒的に多い病気が「骨粗しょう症」です。女性ホルモン(エストロゲン)が低下してくる50歳前後から骨密度が低下し、住民健診や人間ドックなどで発見される方もいます。骨折してから分かるケースも少なくありません。
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そもそも「骨は硬く、一度つくられると一生そのまま」というイメージがありますが、骨は毎日のように骨を壊す「破骨細胞」と、新しく骨をつくる「骨芽細胞」が骨の入れ替え作業をしています。しかし、閉経期以降、エストロゲンが急激に減ることで破骨細胞が活発化し、骨粗しょう症に陥る女性は少なくありません。
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骨粗しょう症には大きく分けて二つのタイプがあります。一つは、先ほど話したように破骨細胞が活発化して骨がもろくなるケースと、もう一つが、破骨細胞も骨芽細胞も働かず、硬くてもろい古い骨となってしまうケースです。骨粗しょう症が進行すると少しの力でも簡単に折れてしまいます。
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骨粗しょう症による骨折が多い場所は背骨の椎体や太ももの付け根の大腿骨近位部、肩の上腕骨近位部、手首の橈骨遠位端(とうこつえんいたん)です。重症の骨粗しょう症の場合、「いつのまにか骨折」というように、気付かないうちに背骨(椎体)が折れてしまうこともあります。
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予防や対策としては「運動」「食事」「日光浴」が挙げられます。中でも日を浴びるだけでビタミンDが皮膚でつくられます。ビタミンDは血液中のカルシウム濃度を高め、骨をつくる仕事を助けます。夏なら木陰で約30分、冬は皮膚の露出も少ないので手や顔に1時間以上、日を浴びるのが理想的です。ある研究では日中に1日30分以上の散歩が有効といった報告もあります。ただ、骨にとって大事なのが紫外線のため、日焼け止めを塗っていては効果が半減してしまいます。
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食事も大切です。骨の材料はカルシウムやコラーゲン、マグネシウムなどです。カルシウムなら1日約800㎎の摂取が理想的で、牛乳なら1本(200ml)で約220mg、豆腐は2分の1丁で180mg、小松菜は4分の1束で120mgが取れます。3度の食事でバランスよく摂取しましょう。
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治療で大切となるのが骨粗しょう症の状態をしっかりと把握することです。骨密度を測り、血液検査で破骨細胞と骨芽細胞の活動状況を見ながら必要に応じて投薬します。
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かなり悪化している場合は、注射薬を進めることがあります。注射薬も複数あり、糖尿病の患者さん自身がインスリンを注射するように、自分で毎日注射する薬もあれば、来院して定期的に注射する薬もあります。
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一方で、薬には副作用があることも理解しておきましょう。それぞれの薬にさまざまな副作用があるため、使用する薬の副作用を十分理解した上で開始することをお勧めしています。
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日常のケアとしてはサプリメントもあります。カルシウムやビタミンD、骨の形成を促進する成分「MBP」が入った錠剤やドリンク剤などもあります。また、大豆イソフラボンを乳酸菌で発酵させた「エクオール」といった女性ホルモンに似た成分が入ったものもあります。エクオールは破骨細胞の仕事を少し抑制してくれます。治療薬ではありませんが、セルフケアとして活用していくというのも一つの方法かもしれません。
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4週にわたり女性に多い整形外科分野、特に手指の病気についてお話ししてきました。いずれも直接、命に関わる病気ではありませんが、生活の質(QOL)に大きく影響します。日ごろからできる対策を練るのとともに、少しでも気になることがあれば、まずは専門医に相談してください。

※グラフなどは医療法人楓林会 さとう整形外科院長佐藤信隆医師提供
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