女性のための健康セミナー

第3回指が痛い、曲がる、ごつくなる!?(2月21日放送)

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指が「痛い」「曲がる」「ごつくなる」などは、指の使い過ぎや年齢、遺伝子の問題でなるケースもありますが、女性ホルモン(エストロゲン)の低下で起こることもあります。このエストロゲンの低下による病気の一つと考えられているのが「へバーデン結節」です。患者さんの約9割が女性です。
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指の第一関節が変形してくる病気で、「変形性関節症」の一つです。原因は明確ではありません。加齢とともに軟骨が減り変形が始まるといわれていますが、指を含めて関節には袋状になっている関節包があり、エストロゲンの低下とともにその袋に炎症が起きて変形が始まるとされています。患者さんにとって一番のストレスは「痛み」を伴うことです。
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変形性関節症では、中高年層に多い「変形性膝関節症」が一番有名かと思います。実際には膝だけでなく、すべての関節でそういった症状が起こり得ます。へバーデン結節は指の第一関節(DIP関節)ですが、第二関節(PIP関節)が変形してくると「ブシャール結節」、親指の付け根辺りが変形してくると「母指CM関節症」と言い、名前が付くくらい手の疾患の中では「変形性関節症」が多いということが分かります。

膝の痛みを訴える方は60~70歳代が多いのですが、手指の場合は40代後半から発症することが多く、体の中では手に感覚神経が多いため異変を敏感に感じるのだと考えられます。実際、手の感覚神経は唇と同じ程度で、おなかや太ももとは比較にならないくらい多くあります。
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変形性関節症により変形してしまった関節は発症前のように完全に戻すことはできません。治療の中心はいかに痛みを取って、使いやすい手指にできるかということになります。そのため、治療は内服薬のほか、テーピングやプラスチックでできた装具・添え木などのサポーターで指の関節を固定して指を動かしにくくすること、またリハビリテーションで硬くなった指を少し動くようにすることで痛みを取るのが一般的です。
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以上のような治療でも痛みが引かない、動かしにくいといった場合は手術となります。指先を使う特殊な仕事をしている方は別ですが、一般的には第一関節が動かなくても日常生活に大きな支障はないといわれています。そのため、第一関節をネジなどで曲がらないように完全に固定します。このほか、変形した部分を少し削ることで痛みを減らし、動かしやすくするといった手術もあります。
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予防や進行を遅らせる一つの方法としては指のストレッチがあります。爪の部分を持ち、引っ張りながら第一関節を曲げたり、伸ばしたりするのも有効です。家事でお湯を使った際や、お風呂に入って指が温まったところでゼンマイ仕掛けのおもちゃが動くように非常にゆっくりとストレッチするのがお勧めです。

サプリメントを取り入れるのも有効です。グルコサミンは変形性膝関節症など、膝が痛いという人には軟骨を維持し、わずかながらでも改善させるといった報告が海外の有名な論文に出ています。
女性ホルモンと似た働きをする「エクオール」という成分は、低下したエストロゲンの代わりに更年期症状を緩和させるだけでなく、関節包の炎症や骨密度の低下を抑えるといった作用があります。

ただ残念ながらいずれも関節を完全に元通りにすることはできません。基本的にはいかに変形してきた指と付き合っていくかが大事になります。まずは進行をさせないためにも気になったら早めの受診をお勧めします。

※グラフなどは医療法人楓林会 さとう整形外科院長佐藤信隆医師提供
 
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