女性のための健康セミナー

第4回アンチエイジングⅡ ~生活習慣&美容について~(3月28日放送)

アンチエイジング医学で大切なのは「運動」「食事」をはじめ、「睡眠」やスキンケアなどの「美容」などで順をおって説明していきます。
矢印
運動は週に2~3回、有酸素運動をベースに筋トレも週に1~2回程度、組み合わせて行うのがよいとされています。有酸素運動はデトックス、むくみの改善効果があるとされていて、ポイントは食事をとる前に行うということです。体にエネルギーを与えない状態で運動をすると、脂肪燃焼の効率が上がります。私は毎朝30分間フィットネスバイクをこいでいますが、ウォーキングやランニングなど継続できるものを選びましょう。筋トレは成長ホルモンの分泌を促すため、体のラインを整えるだけでなく、美肌やアンチエイジング効果があります。

「肥満は老化を早める」ということが研究から明らかになっています。体に余分な糖質はタンパク質と結びついて「AGE」という老化物質をつくり出し、肌のたるみやシワ、くすみ、髪のツヤが低下する原因となって見た目年齢に影響します。さらに高血圧や糖尿病、動脈硬化、がんなどの病気の原因にもなるため、普段から糖質をため込み過ぎないようにしましょう。

日本人が世界トップクラスの平均寿命を維持している背景には、医療技術の発展だけなく日本特有の食文化があるといわれています。海外でも日本食が注目されていますが、具体的にとるべき食材を「まごわやさしい」と覚えてください。
矢印
「ま」は豆類で「ご」はゴマ、「わ」はワカメ、「や」は野菜、「さ」は魚、「し」はシイタケ、「い」はいも類です。納豆やみそなどの発酵食品は腸内環境を整え、ナッツやアーモンド、クルミなどは老化の原因となる活性酸素を抑える働きがあります。ひじきやのり、昆布、もずくなどの海藻類、野菜はビタミンやミネラルが豊富で、アジ、イワシ、サンマなどはオメガ3が、キノコ類はビタミンDがそれぞれ豊富です。いも類は食物繊維やビタミンCが豊富ですが、糖質が多いので摂り過ぎには注意が必要です。

一方で、砂糖や小麦、乳製品、アルコール、カフェイン、加工食品は極力控えましょう。ただ、日々の楽しみや心の潤いのためにも、完全に取り除くのは難しいと思いますので、ストレスのない範囲で減らす努力をしましょう。
矢印
睡眠は脳や体の疲れを取るだけでなく、睡眠中に分泌される成長ホルモンはお肌の修復や脂肪の燃焼を助ける働きがあります。アンチエイジングには体内時計が正しく働いていることが重要で、朝に疲れがなく起きられ、昼間に普通に活動ができているかどうか振り返ってみてください。
体内時計の乱れに自覚がある方は、起床後の日光浴や軽い運動、朝食を摂ること、夜のカフェインやニコチンを控えることなどを心掛けましょう。
矢印
最近の研究では、見た目年齢が若い方は脳の老化や心疾患が少なく、寿命が長いということが分かっています。お肌の状態のピークは20歳前後で、老化の原因の75%は環境因子といわれています。見た目を老化させる最大の原因は「紫外線を浴びた期間」で、このほか肥満や喫煙があります。中でも紫外線は肌の老化(光老化)につながり、シミやシワ、たるみ、皮膚腫瘍の原因にもなります。

日焼け止めはUV-A派・B波の両方を防いでくれものがお勧めで、紫外線が強い夏はSPFが高い製品を選びましょう。最近の日焼け止めにはパソコンのブルーライトや近赤外線もブロックしてくれるものもあります。「吸収剤不使用」の表記があるものの方が肌への負担がより少なくてお勧めです。また、抗酸化作用が期待できるビタミンCを含んだ日焼け止めもあります。
矢印
矢印
栄養は基本的に食事から摂るのが理想的ですが、足りない栄養素はサプリメント等で補う必要があります。サプリメントは毎日飲むものなので、原産国や添加物の量など安全性に気をつけましょう。クリニックで提供している代表的なサプリメントはビタミンCです。生活習慣の乱れや喫煙、ストレス、飲酒、野菜不足などは活性酸素が過剰になっていることが多く、細胞を酸化(サビ)させてしまい、老化の原因となりますが、ビタミンCは抗酸化や抗ストレス作用、免疫力UP、疲労回復、美肌効果、シミ予防になるため、アンチエイジングにまず取り入れたい成分です。内服のほかにも点滴療法ではより高濃度のビタミンCを一気に摂ることができます。
矢印
このほか、コエンザイムQ10は加齢とともに減少する成分なのでアンチエイジングとしてお勧めです。免疫力UP、疲労回復、運動疲労の回復、肩こりや冷え性・むくみの改善、肌荒れ改善、男性の不妊症の改善などさまざまな効果が期待できます。

腸内環境を整える乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が含まれているサプリメント、運動前に飲んで効率よく脂肪燃焼を促すL-カルニチンなど、お勧めしたいサプリメントはたくさんあります。
矢印
女性ホルモン(エストロゲン)と同じ働きが期待できる大豆由来の乳酸菌発酵のエクオールを含んだサプリメントもあり、更年期症状がある場合にもお勧めしています。更年期の治療としては、ホルモン補充療法やプラセンタ注射などもありますが、サプリメントを含めてアンチエイジング効果も期待できます。

当院は産婦人科に関わる治療のほか、アンチエイジングを気遣う方に不足している栄養素を補う栄養サプリメント療法や点滴療法、ドクターズコスメを紹介しています。あらゆる年代の女性の悩みに寄り添い、健康と美容をサポートできるよう日々診療を行っています。今後は「アンチエイジング外来」など、さらに充実させていきたいと考えています。心配事がありましたらお気軽にご相談ください。
矢印