2024年9月27日放送
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日々の防災対策
小松 先月、南海トラフ巨大地震の臨時情報が発表され、全国的に大規模災害への懸念が高まりました。また、これからは台風への警戒も必要です。きょうは大規模災害に対して、普段からどのような備えをすれば良いのか考えていきたいと思います。
山梨県 防災危機管理課 浅川友汰さんとお伝えします。浅川さん、よろしくお願いします。
浅川 よろしくお願いします。
小松 山梨ではどんな自然災害が想定されますでしょうか?
浅川 はい、大きく分けると3つの災害です。
1つめが「地震」による家屋の倒壊、土砂崩れなど、
2つめが台風などによる、河川の氾濫、浸水、土砂崩れなどの「風水害」
3つめが「富士山の噴火」による災害です。
小松 山梨は富士山噴火への警戒も必要ですね。それぞれの災害ではどんな被害が想定されますか?
浅川 まず「地震」で懸念されるのが南海トラフ地震です。南海トラフ地震は、静岡県駿河湾から九州宮崎県の日向灘沖にかけてのプレート境界で発生するとされています。非常に大規模な地震であると予測されるため、震源地ではない山梨県でも、マグニチュード9クラスだった場合は、中・西部で震度6強から6弱、一部の地域では最大震度7の強い揺れが想定されています。
小松 それは他人事ではありません!南海トラフ地震以外の地震も想定されますか?
浅川 はい。本県には、活断層が多数存在するため、山梨を震源とする地震も十分にありえます。中でも県内西部に存在する「糸魚川―静岡構造線」の南部区間や、甲府盆地中央部に存在する「曽根丘陵断層帯」では大きな被害が予想されています。県の予測では、曽根丘陵断層帯での被害が最も大きく、全壊する建物は最大で9万棟以上、死者4000人発生する結果となっています。
小松 全壊が最大で9万棟…想像もつかないです。続いて「風水害」について教えていただけますか?
浅川 はい。台風によって大雨が発生する危険性があります。特に夏から秋にかけては台風が多いのでより一層の注意が必要になります。
小松 最近は、豪雨災害が頻発していますから心配ですね。どんな被害が想定されますか?
浅川 まずは、「洪水」です。大雨によって河川が増水して、堤防を乗り越えたり、壊したりします。山梨県は、急峻な地形なので、降水によって短時間で川の水が集まることから、過去に何度も洪水が発生しています。
小松 そのほかはいかがでしょうか?
浅川 「土砂災害」の危険です。大雨などがきっかけで山や崖が崩れ、土砂が雨水や川の水と混じって流れてくることがあります。土石流はすさまじい威力で、一瞬で大きな被害をもたらします。山梨県は山々に取り囲まれた地形で、昔から多くの被害が発生しています。
小松 盆地ならではの特徴があるんですね。そして3つめが、先月もこの番組で取り上げた「富士山噴火」ですね。
浅川 はい。富士山は1707年の噴火を最後に噴火していませんが、今後いつ噴火してもおかしくない状況です。想定される被害は溶岩流の到達、火山灰の降灰、噴石の落下などが挙げられます。
小松 そして、災害に対する備えですが、命を守ることが先決になりますね。
浅川 はい!地震対策で早急にやっていただきたいのが、家具の固定の確認です。過去の震災では家具の転倒によって大勢の方がなくなりました。地震でタンスなどの重い家具が倒れてくる危険性があります。突っ張り棒や粘着マット、滑り止めシートなどで、しっかりと固定し、重くて倒れやすいものを高い場所に置かないなどの対策で、被害を抑止することができます。
また、大雨などで被害の危険性が高まると、市町村から「避難指示」など防災情報が発令されます。逃げ遅れることがないように随時、情報を確認してください。
小松 そのほか、備えでは共通する部分もありそうですね。
浅川 はい、そうですね。自宅やお勤めの地域がどんな場所か知ることです。市町村などが公開しているハザードマップで「浸水」「土砂災害」「富士山噴火」でどんな被害が想定されるか確認をしてください。そして避難場所・経路の確認をお願いします。
小松 ハザードマップ、避難経路の確認ですね。
浅川 災害発生時は、自宅から避難場所までの道のりが通行できないこともあります。避難場所までのルートを実際に歩いて、ブロック塀などの危険個所を把握して、安全なルートを知っておくことも大切です。
小松 いずれの災害に対しても、備蓄、非常持ち出し品は必要になりますね!
浅川 それぞれ家族状況に合わせて、水や食料などの備蓄、そして懐中電灯やラジオ、モバイルバッテリーなどを含めた非常持ち出し品の用意をお願いします。
小松 また、災害発生時、家族との連絡の取り方についてはいかがでしょうか?
浅川 はい、災害時には電話も繋がりにくくなるので、事前に連絡方法を相談して、スムーズに意思疎通が取れるようにしておくことも重要です。
小松 具体的にどんな方法がありますか?
浅川 例えば…家族で「避難する場所を決めておく」ことです。日ごろから近くの避難場所を確認してください。また、自宅を離れる場合は、あらかじめ決めておいた場所に「メモを残す」のもよいと思います。
小松 まず、どこに避難するのか決めておきたいですね。災害時は伝言サービスもありますよね?
浅川 はい、「災害用伝言ダイヤル」(171)も利用してください。
電話番号や携帯電話などをキーとして、安否の情報を音声情報として録音、再生することができます。また、「遠くにいる親戚や知り合いを通して連絡する」のも方法の一つです。被災地同士ではなく、遠くの場所であれば電話が繋がりやすい場合があります。
小松 そのほか、災害時に注意したいことはありますか?
浅川 災害に便乗したデマ情報に注意してください。自然災害が発生した際には、SNSなどで様々な情報が飛び交いますが、その中には真偽のわからない、いわゆるデマ情報が含まれていることがあます。デマによって、誤った対応や不適切な避難行動に至ってしまうことを防ぐため、行政機関や報道機関など、信頼できる情報源からの最新情報をチェックすることが重要です。
小松 ラジオもしっかりした情報を発信していきます!山梨県の情報発信について教えていただけますか?
浅川 県では「やまなし防災ポータル」を開設しています。警戒情報や、被害状況、避難所の開設情報を確認することができます。また防災に関する様々な情報を一元的に管理して提供しています。ぜひご活用ください!
小松 改めてになりますが、やはり大切なのは日頃からの備えですね!
浅川 そうですね。自然災害はいつ発生するか分からないからこそ、いざというときパニックにおちいらないように備えが必要です。皆さんもご家族などと一緒に日常の備えについて話し合っていただきたいと思います。
小松 はい、わかりました。この時間は山梨県 防災危機管理課 浅川友汰さんとお伝えしました。ありがとうございました。
浅川 ありがとうございました。